NECとNTTは3月21日、標準的な外径(0.125mm)の光ファイバーに光信号の伝送路を12本設けた12コア結合型マルチコアファイバー)を用いて、大洋横断級7,280kmの伝送実験に成功したと発表した。
現在の光海底ケーブル
既存の光海底ケーブルには、1本のファイバー内にコアと呼ばれる光伝送路を1本設けたシングルコアファイバーが用いられている。
これに対し、ファイバーを標準的な外径から変えずに複数のコアを設けて通信容量を増やすマルチコアファイバーを用いることで、ケーブルの大容量化をめざす研究開発が世界中で進められている。
NECは、光伝送路を2本設けた2コアのマルチコアファイバーを用いた長距離光海底ケーブルシステムの敷設プロジェクトを手掛けている。
両社の研究成果
標準的な外径の光ファイバーにコアを増やしていくと、コアから漏れた光信号が隣接するコアの光信号に干渉し混信することで、お互いの通信品質が劣化するクロストークが発生する。
特に長距離の伝送では、クロストークの深刻化に加え、光信号間の遅延や損失の不均一性などが原因で、送信した信号を正確に受信することが困難になる。
これらの課題に対して、NECはMIMO (Multiple Input Multiple Output)技術により受信信号の復調を実現したアルゴリズムを開発した。一方、NTTは「12コア結合型マルチコアファイバー光伝送路」を開発した。
これらの技術を組み合わせ、大洋横断級の光海底ケーブルを想定した7,280kmの長距離伝送実験を行い、12空間多重光信号のオフラインでの正確な復調に世界で初めて成功したという。