OKIエンジニアリング(OEG)は3月19日、半導体の微細化に伴ってニーズが拡大する正確な静電気耐性評価を実現するため、新規設備を導入し「安定性・再現性に優れたCDM(デバイス帯電モデル)試験サービス」を開始した。
微細化に伴って影響が増大する“静電気”
技術革新が続く半導体業界では、デバイスの小型・軽量化ニーズに伴い、半導体の微細化が進んでいる。しかしそれに伴い、半導体デバイスが静電気に対して脆弱になっており、実装工程において帯電した電子部品が周辺の製造機械などと接触した際に放電し、半導体内部の回路が破損する事象が起こっている。
こうした課題への対策として、電子部品の静電気耐性をより正確に把握するための試験に対するニーズが増大しているといい、特に帯電したデバイスが放電する現象を再現するCDM試験は、電子部品組み立て時の帯電による破壊を検査する試験として重要性が高まっているという。
OEGはこれまでもCDM試験サービスを提供しており、同サービスでは、民生品から車載部品までにおいて全般的な国際標準規格である「JS-002」に準拠した試験環境を用意していた。
しかし従来の設備では、試験環境内の湿度制御を手動で行っていたために“30%以下の任意の範囲”という大まかな管理に終始していたことなどの理由から、試験時の放電波形が安定せず、再現性に影響を与えるばらつきが発生していたとする。また従来設備では対応可能なピッチ幅が最小0.4mmであったものの、微細化に伴いより小さな端子ピッチの試験が求められるようになったとのことだ。
新たな装置を導入しより正確なCDM試験を可能に
そこで同社は今回、新たなニーズに応えるため、阪和電子工業のCDM試験装置「HED-C5000R」を導入。これにより、湿度の面では5%範囲で制御でき、放電波形の安定性・再現性が向上したという。また対応できるピッチ幅については、装置内のCCDカメラを用いて専門要員が接触状態を確認できるため、0.25mmまで対応が可能に。より狭いピッチ幅となるBGA(ボールグリッドアレイ)でも試験可能な範囲が広がったとする。
なおOEGは、試験サービスのみならず、試験結果から不具合が発見された場合には“故障解析サービス”も提供できる点が強み。故障解析や静電気保護回路コンサルの経験を持つ専門人材の知見を活かし、CDM体制を改良させるプランの提案や実施をワンストップで行えるとのことだ。
1社では確保できない試験を代わりに提供し続ける
OEGの担当者によると、新装置を用いたCDM試験サービスでは、販売目標を年間6000万円と設定。従来のCDM試験サービスでも取引社数は増加傾向にあることから、サービスのリニューアルによってさらなる売り上げの拡大が期待されるという。
この発表に際し、OEGの中井敏久社長は「静電気試験に求められるサービスの変化を見ていて、ものづくりにおける技術開発には終わりが無いことを実感した。さまざまな試験サービスを提供しているOEGとしては、1社で保有するのは難しい試験設備を揃えて、顧客の技術開発を幅広く手助けしていきたい」と語った。