経済産業省(経産省)傘下の新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は3月18日、“NEDO Challenge”と名付けた「NEDO懸賞金活用型プログラム」を開始することを発表した。

同プログラムは、技術課題や社会課題などを解決する解決策やそのシーズ技術などを、懸賞金型コンテストとすることで募るもので、懸賞金を提示することによって、将来の社会課題の解決や新産業創出につながる優れた研究開発シーズを見いだし、これを起点に実用化研究開発や産業創出の事業化につなげようという計画である。このプログラムを担当する部署は、NEDOの新領域・ムーンショット部フロンティアグループなどになるという。

今回、この“NEDO Challenge”を本格化させることを契機に、NEDOの新領域・ムーンショット部は“NEDO Challenge”制度を表すロゴを策定した。

  • 「NEDO Challenge」のロゴマーク

    「NEDO Challenge」のロゴマーク (出所:NEDO)

また、この“NEDO Challenge”事業の第1弾として、「NEDO Challenge, Satellite Data for Green Earth」(衛星データを活用したソリューション開発)を始めることも公表された。「衛星データと地上データなどの組み合わせによって、グリーン分野に資するシーズ発掘を目的とした取り組みを実施する」と担当する新領域・ムーンショット部宇宙グループは狙いを説明する。

この衛星データを活用したソリューション開発についてNEDOでは以前から、経産省と衛星データと地上データなどとの組み合わせによって、さまざまな地球規模課題の解決策を模索してきた。今回の公募は、衛星データ活用の機運が高まりを背景に、衛星を活用したさまざまな社会課題の解決するソリューション開発に取り組んできた経緯を具体化するシーズ発掘を進めるものになる。具体的には、「グリーン分野の課題解決を、衛星データなどを活用することで、より効果的に実現するシステムを公募するもので、より多くの革新的・独創的な提案を募ることを目指して懸賞金型コンテストを実施する」と、新領域・ムーンショット部は説明する。

衛星データを活用したソリューション開発としての公募対象テーマは以下の3件。

テーマ1は「カーボンクレジット基盤構築 」(グリーン・ブルーカーボンなど)で、具体的な技術開発テーマ例としては、「森林・農地・水域などバイオマスのMRV(測定・報告・検証)手法の開発」、「森林・農地・水域などの効率的な維持管理など、関係する業界・個社の抱える課題解決」「これらの複合またその他対象における技術開発」としている。

テーマ2は、「エネルギーマネジメント基盤構築」(風力・太陽光など)で、具体的な技術開発テーマ例としては、「風力・太陽光などの再生可能エネルギーにおける、適地探索、発電電力量・需要予測などの手法の開発」「関係する事業者・行政などの意思決定支援、点検・保守などにおける業務効率化の実現」「これらの複合またその他対象における技術開発」としている。

テーマ3は、「気候変動・環境レジリエンス基盤構築」(火災・水害・生物多様性など)で、具体的な技術開発テーマ例としては、「浸水などの風水害に対する被害把握・軽減、火山・林野などの火災の早期検知手法の開発」「気候変動、生物多様性など、自然資本の回復に資する環境評価手法の開発」「関係する事業者・行政などにおける意思決定の支援や業務の効率化」「これらの複合またその他対象における技術開発」としている。

懸賞金額は1位が1000万円、2位が400万円、3位が200万円で各テーマの受賞者それぞれに交付されるという。今回の公募期間は2024年3月18日~4月30日の正午までで、NEDOの専用サイトから応募を行う形となる。また、受賞者の決定は2025年1月下旬ころを予定。懸賞金の交付は2025年3月を予定している。

なお、NEDO Challengeの第2弾と第3弾もすでに実施する予定としており、公募を順次開始する予定としている。内容としては第2弾は「NEDO Challenge, Li-ion Battery 2025」として、リチウムイオン蓄電池が回収物に混入することによって引き起こされる廃棄物処理・リサイクル現場などでの火災・事故などの課題に対して、処理工程における安全性を高めつつも作業の円滑化に資する取り組み。第3弾は名称は未定としながらも、AI(人工知能)技術により、筋電位や脳波などの生体情報から人間の身体操作、運動情報を予測する取り組みとしている。