金利やハイテク企業の動向で上下動する株価
株価上昇は続くか、外部材料で腰折れを招くか─。
2024年3月4日、日経平均株価が史上初めて、4万円を突破した。2月22日に、約34年ぶりにバブルの最高値、3万8915円を超えたが、そこからほとんど押し目らしい押し目もなく4万円を超えてきた。
この最大の要因は、外国人投資家の買い。地政学リスクを背景に、これまで中国に振り向けていた資金を日本にシフトしていることが大きい。さらに投資家は日本銀行の政策変更が見込まれる中、インフレに向かうことも視野に入れている。東京証券取引所によるPBR(株価純資産倍率)1倍割れ企業の改善要請など、日本企業がより株価や資本効率を意識した経営を進めていることも好感されている。
また、日本人投資家は、この30年抱えた含み損を解消すべく売りの姿勢が強かったが、24年から「新NISA」も始まり、一部が日本株を買う動きを見せていることも、相場を押し上げる材料となった。
今の株価の水準について、証券各社首脳は「通過点」(浜本吉郎・みずほ証券社長)という認識で一致している。なぜなら米国を見ると、NYダウは89年から現在まで14倍、ナスダックは37倍。対して日本は89年の水準をようやく超えたばかり。証券業界は年央、6月頃の4万3000円を見据えている。
ただ、この動きに対して「上昇ペースが速すぎる」と警鐘を鳴らすのは第一生命経済研究所首席エコノミストの熊野英生氏。1月だけで約2兆円の買い越しとなっているが、23年全体で約3兆円の買い越しという状況を見ると、1カ月で9カ月分の資金が入ってきたことになる。
「ここまで上がるとチャンスはリスクになっている」と熊野氏。例えば、米ウォール街はFRB(米連邦準備制度理事会)の利下げを織り込んで株価を見ており、実施されない場合には米市場が崩れる恐れがある。
また、今春闘でも一定の賃上げが見込まれるが、実質賃金の上昇が物価上昇に追いついておらず、人々の生活実感は株高との乖離がある。まさに「成長と分配の好循環」を実現することなしには、株価水準の持続、上昇は難しいという声は強い。