マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を巡り、国家公務員の利用率が4.36%だったことが判明した。12月2日の保険証廃止に向け、政府挙げてマイナ保険証の普及に力を入れていただけに、武見敬三厚労相は記者会見で「もっと頑張らなくてはいけない。これではまだ低過ぎる」と苦言を呈した。
厚労省は2月、国家公務員とその家族が加入する国家公務員共済組合のマイナ保険証の利用率を初めて公表した。昨年11月時点の調査では最も高かった総務省でも6.26%にとどまり、マイナ保険証を所管する厚労省は4.88%、最も低い防衛省は2.50%だった。情報のひも付けミスなどのトラブルを背景に医療機関や薬局での利用率は4%台に低迷しているが、国家公務員でも普及していない状況が浮き彫りとなった。
所管する保険局幹部は「言い訳にはならないが、本省、支部に限定すれば厚労省の利用率は全省庁の中で一番高い。今後は出先機関を含めた省全体の利用勧奨に取り組みたい」と話す。
大島一博事務次官が早速全職員に利用を促すメッセージを送ったり、事務次官会議で協力を要請するなど汚名返上に躍起だ。ただ、「霞ケ関職員に限らず、若い世代は病気をしないし、普段カードを持ち歩かない。彼らの行動をどう変えていくかが課題」(中堅幹部)との声もあり、容易ではない。
同省はマイナ保険証普及策の一環として、24年度診療報酬改定での新評価創設や医療機関・薬局での働き掛け強化に取り組むなど、利用率の底上げを目指している。同省が実施したアンケート調査ではマイナンバーカード保有者の4割超が「いつも持ち歩いている」と回答しており、先の幹部は「医療機関や薬局の窓口での働き掛けを強めれば大分状況が変わるのではないか」と期待を寄せている。