【経済産業省】おもちゃに安全規制創設 法改正案を今国会提出へ

経済産業省は、おもちゃなど子ども用製品を対象に新たな安全規制を創設するため、消費生活用製品安全法などの改正案を開会中の通常国会に提出する方針だ。インターネット販売の普及で消費者が輸入品を手軽に購入できるようになった反面、安全性が担保されていない製品の流通も懸念される。事前に規制を設けることで、不適合品による事故を未然に防ぐ狙いだ。

 改正案では、低年齢層向けのおもちゃなどを「子供用特定製品」として規制の対象とする。おもちゃ以外ではベビーカーや抱っこひもが対象となる見込みだ。対象製品の製造企業や輸入事業者に対し、国が定めた技術基準の適合を義務付ける他、使用上の注意などの警告表示を求める。ルールを順守していることが分かるように製品にはマークを付け、表示がない場合は販売できないようにする。

 経産省が規制を設ける背景には、海外では多くの国でおもちゃが規制対象となっている中、安全でない製品の国内での流通を防ぐ仕組みがないことや、現在の子ども用製品に対する規制が事故が起きてからの対応で、安全確保の仕組みが十分でないことがある。

 おもちゃは米国や欧州連合(EU)など多くの国と地域で規制の対象となっている一方で、日本には規制がないため安全性を満たしていない海外製品の流通を防ぐことができない状況にある。民間の自主的な安全確保の取り組みもあるが、あくまでメーカーの任意で、市場に流通する製品全てに対応しているわけではない。

 子ども用製品への規制も事故が起きてからの事後的な対応だ。小型磁石を組み合わせて遊ぶおもちゃ「マグネットセット」などは事故が相次いでいることを受けて販売規制したが、欧米ではすでに規制対象品だった。

 改正案では中古品について、消費者への注意喚起などを条件にマークがなくても販売可能とする特例を設けるなど製品安全の新たな仕組みが動き出す。

翁百合・日本総合研究所理事長「企業は、企業価値向上と社会課題解決の『二兎を追う』成長戦略の実行を」