堀場製作所は3月18日、半導体製造の露光工程において必要な異物検査装置として同社が展開する「PD」シリーズの新製品として、異物の検出から除去までを1台で完結する「PD Xpadion EX」を同日より発売することを発表した。
40年の節目を迎えるPDシリーズの新製品が発売
半導体の回路を焼き付ける露光工程では、レティクルやマスクなどの回路が描かれた原版を用いて、ウェハ上に回路を転写する。この時、ほこりなどの異物がレティクルに付着していると品質不良を起こし歩留まりが低下するため、異物検査装置による検査が行われる。堀場はこの異物検査装置について、1984年よりPDシリーズを展開し、顧客のニーズに応えながら進化を続けてきたとする。
半導体産業における分析・計測・制御ニーズは、これまでにないスピードで高度化・多様化しており、レティクルの異物検査装置についても同様とのこと。それを受け堀場は2021年、EUVなどの技術進展を背景に高まる検査の要求レベルに対応するため、「PD Xpadion」を発売している。
しかしこれまでの製品では、検出した異物を取り除くために、レティクルやマスクを取り出して別の装置へと搬送する必要があった。そのため、搬送の過程で新たな異物が付着するリスクの低減、さらには製造プロセスの効率化、設置面積の低減といった幅広い観点で装置の一体化が求められていたことから、今回の新製品の開発に至ったとする。
異物の検出から除去までを1台の装置で完結
新製品のPD Xpadeion EXは、2021年発売のPD Xpadionに、高い異物除去率を持つ堀場のレティクル/マスク自動異物除去装置「RP-1」の機能を一体化することで、異物の検出から除去までを自動で行うことが可能になったとのこと。またレティクル/マスクが格納されたケースを2式同時にセットできるマルチポートも備え、連続的に異物検出・除去を行えるとする。
半導体製造工場内のOHTとも連携し搬送自動化にも貢献
さらに、半導体製造工場内のOHT(搬送物を吊り下げた状態で保持し、天井に設置された軌道レールを走行する自動搬送装置)との連携に必要とされる「EFEM」(レティクル/マスクをOHTと異物検査装置の間で受け渡すユニット)も自社開発。これにより、顧客が求める使用への柔軟な対応が可能となる上、搬送の自動化による生産性向上および省人化、製造エリアのスリム化に貢献するとした。
なお、PD Xpadion EXの希望販売価格は1億5000万円~(税別)で、PD Xpadionとの合計で5年累計150台の販売を目標としているとのこと。新製品については、異物の成分分析やペリクル(レティクル/マスクのパターン面への異物付着を防ぐための防塵膜)の膜厚測定などもワンストップで行える機能拡張にも取り組んでいるといい、今後も新たな可能性を提示していくとしている。