5年ぶりに帰ってきた大哺乳類展
東京・上野の国立科学博物館(科博)にて2024年3月16日から6月16日までの期間、特別展「大哺乳類展3 - わけてつなげて大行進」が開催される。
2019年に開催された特別展「大哺乳類展2 - みんなの生き残り作戦」から5年が経ち再び上野に帰ってきた大哺乳類展シリーズの第3弾となる同展。前回は、哺乳類たちがどのように生き延び繁栄を築いてきたかにフォーカスした「みんなの生き残り作戦」をテーマとしていたが、今回は見た目や内部の特徴、DNAなどをもとに"分類"し、それらの関係性を"系統"することで浮かび上がってくる哺乳類の不思議に迫った「わけてつなげて大行進」がテーマだ。
同展を監修したのは、国立科学博物館 動物研究部 脊椎動物研究グループ 研究主幹の川田伸一郎氏と同 田島木綿子氏の二人。開幕前日に開かれた報道内覧会にて川田氏は、「帰ってきました〜!」と会場を沸かせ、自身の研究分野であるモグラの分類から「系統」という同展のテーマの着想を得たと説明したほか、「大人はもちろんのこと、子供でも楽しめるよう(同展を)監修したのでぜひ皆様来て頂きたいです」と呼びかけた。また、田島氏は自身の研究分野であるクジラやイルカに紐付けて、「生物について理解するヒントにしてほしいです。我々自身も哺乳類ですので、哺乳類の一員として鑑賞を楽しんで欲しい」と思いの丈を述べたた。
500点以上の哺乳類標本が一堂に展示
今回の特別展の見どころは、前回よりもさらにスケールアップしたあわせて500点以上の陸と海の哺乳類標本を楽しむことができるところだ。展示構成は「 哺乳類とは」「分類と系統-わけるとつなぐ」「リアル哺乳類図鑑-わけてつなげて大行進」「哺乳類の分け方-過去から未来へ」の4章立てで、中でも第3章にある「哺乳類大行進」では、系統と分類に即して関係性の近いグループごとに分けられた約200点の標本たちが、大行進しているような壮大なスケール感を楽しむことができる。
グループ内の類似性を探してもよし、グループとグループの関係性について考えるもよし、自分の推し哺乳類を探すでもよしと、鑑賞者次第でいろいろな楽しみ方ができるだろう。
ほかにも、国内では唯一となるキタゾウアザラシの剝製標本をはじめ、アジアゾウの全身交連骨格、赤ちゃんクロサイ、プーズー、キボシイワハイラックスの剝製標本などが初公開となるほか、分類の手がかりになった頭骨や骨盤骨、内蔵も含めた約30点の標本も展示されており注目だ。
より詳しく展示内容を知ることができる音声ガイド
そんな同展の音声ナビゲーターには、「呪術廻戦」の伏黒恵など多くの人気アニメのキャラクターを演じ、歌手としても活躍する声優の内田雄馬氏を起用(専用ガイド機の貸し出し料金は600円。スマホアプリ配信版は650円)。同展監修者との対話も盛り込まれており、哺乳類の分類と系統の世界をより詳しく知ることができる。
そんな内田氏も実際に会場で見てみたいと挙げていた「シロナガスクジラの心臓」(実物大レプリカ)も注目展示物だ。
個体が死を迎えるまでその意思とは無関係に拍動し続ける心臓。同展に入場してすぐの第1章にて、その注目のシロナガスクジラの心臓を見ることができる。実物大であり、間近で見ればその大きさに圧倒されること間違いなしだ。
また、大きさが異なるシロナガスクジラ、アジアゾウ、チビトガリネズミそれぞれの心拍数についての展示もあり、ヒトが1分間に70回拍動するのに対し、アジアゾウは30回、チビトガリネズミは1000回拍動するといった説明なども楽しむことができる。こうした説明に補足する形で音声ガイドでは、ゾウの寿命が70年、チビトガリネズミの寿命は1〜2年だという話や、おおむね生物の心臓の拍動回数の総数は同じ程度で寿命を迎えるといった不思議な話もと聞くことができるなど、音声ガイドを利用した人だけが知ることができる話もあるので、会場に行った際にはぜひ利用することをおすすめしたい。
特設ショップでは購入制限があるものも
このほか、同展最後には科博特別展おなじみの特設ショップも用意され、図録やオリジナルグッズなどを購入することができる。特に、同展示監修者が監修し、細部までこだわったぬいぐるみは多くのラインナップが揃えられており、リアルかつ可愛らしい見た目ということもあり注目だ。ただし、1人1種3個までの購入制限をする可能性があるとのこと。また、数々のキャラクターデザインを手掛けるグリーンハウスが同展示のために書き下ろした哺乳類、全6種のオリジナルシールがランダムに入ったポテトスナックやラバーストラップなども販売される予定。ポテトスナックについても1人6個までと購入制限があるので、購入される際には注意が必要だ。
見た目や暮らしぶりから同じグループにされていたものが分けられたり、はたまた、まとめられたり。監修者たちの専門である、モグラやクジラ・イルカも異なる分類となった事例があり、系統は年々変化している。そうした哺乳類の"分類"と"系統"について同展に足を運び楽しく学んでみてはいかがだろうか?。
なお、同特別展の概要は以下のとおりとなっている。
- 入場料(当日券):一般・大学生2100円、小中高校生600円(未就学児ならびに障害者手帳をお持ちの方とその介護者1名は無料)。平日限定としてペア券(4000円)ならびに音声ガイドセット(2600円)も用意
- 会期:2024年3月16日~6月16日(休館日は月曜日、ただし3月25日、4月1日、4月29日、5月6日、6月10日は開館。ならびに5月7日)
- 開館時間:9時~17時(入場は16時30分まで)。毎週土曜日、4月28日(日)~5月6日(月・振休)は19時まで延長(入場は18時30分まで)
- 会場:国立科学博物館(東京・上野)