デロイトトーマツミック経済研究所は3月15日、最先端のITを使った人事関連ソリューション、HRTechクラウドについて調査・分析した資料「HRTech クラウド市場の実態と展望 2023年度版」を2月に発刊したことを発表した。

  • HRTech クラウド市場の中期予測(2021年~2027年度推定)

    HRTech クラウド市場の中期予測(2021年~2027年度推定)

HRTechクラウド市場の現状は?

今回の調査では「採用管理クラウド」、「人事・配置クラウド」、「労務管理クラウド」、「育成・定着クラウド」の4市場を「HRTechクラウド」と捉え、47社のベンダーを取材し、その他のベンダーも推定して市場規模や動向を集計・分析しているほか、上位ベンダーのシェア動向や2027年度までの中期予測も行っている。

HRTechクラウド市場は、2022年度前年比136.9%の804.7億円となり、2023年度は前年比137.7%の1,108億円を見込む。主要なトピックは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」の対応で、適材適所に人員を配置する人事システムやタレントマネジメントシステムなど、大手中心に需要が増えているという。

また、企業のDXに際し、ITリテラシーが低い人でもシステム運用やデータの利活用ができるようなサポート体制や生成AIを活用した補助機能などにより、未導入ユーザーの導入促進につながっているということだ。

同市場は、建設/物流業界における2024年問題の対応や、人的資本経営の意識の高まりを受け、大手企業中心に継続的に拡大。2022年度~2027年度まで年平均31.8%増で成長を続け、2027年度には3,200億円市場を予想した。

成長要因は「オンライン化」

調査4市場の2022〜2023年度の成長要因として、「採用管理クラウド」は有効求人倍率の上昇を背景に、オンライン面接定着に伴うWeb面接関連ツールとの連携強化や採用から入社後までを一元管理するタレントマネジメントシステム連携強化の後押しし、「人事・配置クラウド」は人的資本経営に基づく社内リソース管理対応と、ハイブリッドワーク下での業務評価を踏まえたユーザーのタレントマネジメント需要拡大が追い風になったことを挙げた。

そのほか「労務管理クラウド」は、大手企業ユーザー向けの機能拡充やサポートを強化。また、タレントマネジメントシステム連携など複数プロダクトを絡めたクロスセルが貢献し、「育成・定着クラウド」は人的資本経営が注目される中で組織風土やエンゲージメント関連のデータ管理需要が加速したことに加え、「人的資本の情報開示」におけるガイドライン「ISO30414」対応で大手企業中心に導入が拡大したことが要因だと同社はみている。

  • 調査対象と定義

    調査対象と定義