台湾行政院傘下の国家科学及技術委員会(NSTC)は3月11日、台湾の3大科学園区(台湾政府が管理する工業団地)の2023年の運営状況を総括する記者会見を開催し、南部科学園区(南部サイエンスパーク)に進出している企業の2023年売上高が過去最高となる前年比6.88%増の1兆5900億NTドル(約7兆4000億円)を記録し、初めて台湾北部の新竹科学園区(新竹サイエンスパーク)の売上高を上回ったと発表した。TSMCが、2022年末から南部サイエンスパークのFab18にて、3nmプロセスでの量産を開始したことや、同サイエンスパークに新たに20社が進出したことが後押しとなったという。
このほかの新竹サイエンスパークの2023年売上高は前年比11.98%減の1兆4200億NTドル、中部科学園区(中部サイエンスパーク)は同19.78%減の9400億NTドルと、ともにマイナス成長となっており、南部サイエンスパークのプラス成長が目立つ結果となった。
これら3大サイエンスパークの売上高合計は前年比7.56%減の3兆9400億NTドルで、前年割れは2015年以来の8年ぶりだという。
全体における半導体分野の売上高は、総売上高の77%となる3兆372億NTドルで前年比8.67%減となっている。サイエンスパークごとの内訳は、新竹サイエンスパークが同13.9%減の9804億NTドル、中部サイエンスパークが同23.3%減の7607億NTドル、南部サイエンスパークが同8.5%増の1兆2960億NTドルとなっており、TSMCの3nmプロセス量産拠点がある南部サイエンスパークだけがプラス成長を記録。こちらも新竹サイエンスパークを抜いて南部サイエンスパークが初めてトップとなった。
3大サイエンスパークの半導体以外の売上高は、液晶パネルなどの光電が同7.7%減の4107億NTドル、コンピュータと周辺機器が同2.5%減の2077億NTドル、精密機械が同6.1%減の1260億NTドル、通信が同8.9%増の998億NTドルとなっている。
なおNSTCでは今後、AI、5G、HPC分野で半導体の先端プロセスニーズが高まっていくことから、2024年の3大サイエンスパークの売上合計額は前年比でプラス成長となると予測している。