「トランジションを進める上で不可欠なエネルギー源」
東京電力と中部電力が折半出資する国内最大の火力発電会社・JERAが、豪州エネルギー大手のウッドサイド社から、LNG(液化天然ガス)プロジェクトの権益を約14億ドル(2100億円)で取得する。
「他の化石燃料による発電と比較してCO2(二酸化炭素)排出量の少ないガス火力発電は、発電出力が不安定な再生可能エネルギーを機動的に支えるという補完関係にあり、エネルギートランジションを進める上で不可欠なエネルギー源だ」
JERAのLCF(Low Carbon Fuel=低炭素燃料)バリューチェーン統括部長の加藤雄一郎氏はこう語る。
同社が取得するのは、豪州スカボローガス田の権益15.1%。西豪州北西部沖合に位置するガス田で、同ガス田はCO2含有率が0.1%未満と非常に低く、環境負荷の小さいLNGを確保することが可能になる。
プロジェクト全体のLNG生産量は最大で年間約800万トンを見込んでおり、JERAは最大約120万トンのLNGを引き取る。生産開始は2026年頃になる予定だ。
また、JERAは、ウッドサイド社が保有するLNGポートフォリオから年間6カーゴ(約40万トン)のLNGを購入することでも合意。
2026年から10年間の契約で、今後は水素やアンモニアなど、脱炭素へ向けた事業でも協業を検討している。
昨年末には、東京ガスが米天然ガス企業を同社では過去最大級の約4千億円で買収。脱炭素社会の実現に向けたトランジション燃料として不可欠なLNGの存在感が高まっている。
脱炭素と安価で安定的なエネルギー供給の両立へ向け、今後も各社のLNG投資はしばらく続きそうだ。