旭化成は3月12日、ミリ波やマイクロ波帯の技術を用いて、食品や半導体などの製造ラインを流れる対象物(粉体、水を除く液体、繊維、フィルムなど)に含まれる微小金属の検出が可能な新たなシステム技術を開発したことを発表した。
工業製品の製造において、微小金属の混入は重大な欠陥となり得る。従来のフィルム向けの磁気やX線などの手法を用いたインライン検査機では、直径200μm程度の大きさの金属微粒子が検出できる異物の下限であり、これが現状の検査機における課題となっていたという。
今回開発された新システムは、誘電率の変化に高い感度を持つ空洞共振器を用いているとのこと。同手法による検知は、対象物上の微小金属が空洞共振器内に侵入した際に、微小金属による共振器内の電場の変化を強振周波数の変化として捉える仕組みであり、金属の透磁率の強弱に影響されないため、非磁性の微小金属に対しても高い検出感度を得ることが可能だとする。
こうした特徴を持つ空洞共振器による新システムを用いることで、フィルム向け検査においては、直径50μmを検出下限とする微小金属の検出が可能になるという。また、従来のマイクロ波ドップラー法を用いた繊維中の検査では検出下限が直径3μm・長さ5mmだったのに対し、新システムを用いることで直径1μm・長さ300μmの繊維状微小金属まで検出できるようになるとしている。
なお旭化成によると、このシステムについてはさらなる性能向上を行った後、2026年内の製品化を予定しているとのこと。また3月12日から14日まで開催される「2024年度精密工学会春季大会学術講演会」にて、今回の開発に関する発表を14日に行う予定だという。