ランスタッド社長兼COO・猿谷哲「グローバルのリーディングカンパニーの強みを活かし、働く人と企業に『伴走』するパートナーでありたい」

コロナ禍を経て働くことへの価値観が多様化

 ランスタッドはオランダに本社を置く世界最大の人材サービス企業で、世界39の国・地域で事業を展開しています。

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 今、日本のみならず全世界的に人材不足の環境に置かれていと感じています。日本では特に、コロナが一旦落ち着いて以降、各業界、各企業で人材の逼迫が起きています。その中で当社としては企業サイド、求職者サイド双方からの課題解決に目を向けていくことが使命です。

 企業の方々は、いかに「人」を惹きつけるか、そしていかに継続・定着してもらえるかという課題を抱えています。それに対して当社は、グローバルレベルで従業員から見た企業のブランド「エンプロイヤーブランド」に関する調査・ソリューション提供に取り組んでいます。

 求職者の方々は、コロナ禍を経て働き方、働くことへの価値観が多様化しています。また、様々なライフイベントの中で、働くことに対する向き合い方も変わっています。

 かつての日本では終身雇用が慣行になっており、転職に対してポジティブなイメージを持たれていませんでした。それが今は自分のライフスタイル、価値観に合わせて働くという意識が、かなり広がってきました。その多様化したニーズにいかに応えていくかが我々の課題です。その方のライフイベント、環境に合わせた働き方を提供すべく、サービスラインナップを揃えています。

 当社の大きな特徴は、企業と求職者をマッチングさせて終わりではなく、そのライフイベントに「伴走」していく点です。

 学生時代のアルバイトに始まり、転職、派遣、キャリアアップなど、ライフパートナーとして寄り添うためのサービスを組み立てているのです。ワンストップで、これだけのメニューを提供できるのは、他社にない我々の強みだと考えています。

グローバルを知るスペシャリストとして

 また、我々はグローバルのトッププレーヤーとして、グローバルな働き方を知るスペシャリストとしてのサービスを提供できることも強みです。特にオランダは働き方先進国と言われています。ED&I(公平性・ダイバーシティ・インクルージョン)なども含め、当社の事例を企業に紹介することで、労働環境のシステムやインフラを整えていただけることも差別化の1つになると思います。

 そして日本の働き方における大きな問題は企業と求職者のミスマッチも挙げられますが、そのために必要なのはスキルギャップを埋めることです。今、日本でも「リスキリング」が注目されるようになりましたが、我々は以前からこの課題に取り組んでいます。例えば、不足するIT人材確保に向け、当社が未経験者に基礎的なスキルを教育して、企業に紹介するというサービスも展開しています。リスキリングは今後も大きなテーマだと捉えていますし、政府が掲げる「三位一体の労働市場改革」の実現にも寄与できるように引き続き尽力していきます。

 グローバル企業として様々なソリューションを提供できることは我々の大きな強みですが、日本市場にはまだまだ成長の余地があると思っています。

 当社が日本市場に本格参入したと言えるのは、2011年のフジスタッフの買収からです。グローバルにおける人材サービス業界のリーディングカンパニーとして、世界2番目の規模を誇る日本の人材サービス市場で引き続きプレゼンスを高めると同時に、日本企業が世界展開する際の支援サービスを強化、拡大できると考えています。

 世界で最も専門性、公平性の高い人材サービス会社であるために、今後も活動していきます。