KDDIは3月7日、映像伝送基盤と360度カメラを活用して、医療機器メーカーの担当者による手術の立ち合いをオンライン化する実証を実施したことを報告した。医療業界のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進を狙う。
実証では手術室を360度視点で視聴可能な映像伝送基盤を開発し、長野県佐久医療センターの整形外科の手術室内に360度カメラを設置。手術室の360度ストリーミング映像を5G(第5世代移動通信システム)通信でリアルタイムに伝送することで、立ち会いをオンライン化した。
実証の背景
高度な医療機器を使った手術においては、医療機器メーカーの担当者が手術に立ち会い、執刀医や助手、手術看護師に対して医療機器の扱い方や注意点などを説明する必要がある。しかしその一方で、他の手術とのスケジュール重複や緊急手術の際には担当者の立ち合いが難しく、高度な手術が十分に実施できない点が課題とされていた。
そこで今回、KDDIは医療機器メーカーの担当者による手術立ち合いの効率化に向けて、360度カメラのストリーミング映像と映像伝送基盤の有効性を検証する実証に至った。
実証の成果
医療機器メーカーの担当者は移動せずにオンラインで手術に立ち会えるようになるため、手術立ち合い数を増やせるほか、これまで難しかった緊急手術への立ち会いも可能になるという。
今回は、KDDIが提供するクラウドサービス「KDDI クラウドプラットフォームサービス」上に独自開発した映像伝送基盤と5G通信により、360度のストリーミング映像のリアルタイム伝送を実現たとのことだ。
手術室全体の映像を自由な画角でリアルタイムに視聴可能となるため、医療機器メーカーによる医療機器の適切な操作説明を実現できたとしている。なお、同社は今後、実証で得た知見を基に映像伝送基盤・5G通信・カメラなどをパッケージ化したソリューションを提供するという。