Ansysは3月5日、2024年1月に発表したシミュレーション予測精度と生成AIの速度を組み合わせたSaaS最新アプリケーション「Ansys SimAI」について国内メディアに向けた説明会を開催し、その特徴などの紹介を行った。
近年、製品の高度化や市場投入までのさらなる時間短縮が求められており、予測精度を落とすことなく生産性を向上できるエンジニアリングソフトウェアソリューションの需要が高まりつつある。
そうした背景もあり、同社はシミュレーションと並行して、高度な生成AIを設計プロセスに導入することで、計算負荷の高いプロジェクトに対して、どの設計フェーズでもモデル性能の予測を従来比で10~100倍ほど高速化することを実現してきた。
さらにAnsys SimAIでは、コーディングの経験やディープラーニングの専門知識がないユーザーの利用を想定して設計・開発がなされているため、直感的で使いやすい構成になっているとのこと。
また、設計形状のパラメータに依存して定義するのではなく、設計の形状そのものを入力として使用するため、学習データ間で形状の構造が一貫していなくても広範な設計の探索ができる点を強調していた。
AIについても、以前生成されたAnsysのデータのみならず、Ansys以外のデータも含めて使用する形でトレーニングできるとするほか、トレーニングと予測は最新のクラウドインフラストラクチャーでホストされており、ユーザーデータを安全かつプライベートに管理することができるという。
説明会にて同社技術部のDistinguished EngineerであるSrinivasa Mohan氏は、「(SimAIを活用することで)エンジニアたちは、シミュレーションにかける時間や物理的テストにかける時間を少なくすることができる」と述べており、市場投入までの時間が短縮できる点が最大のメリットだとする。また、SimAIを使うことにより、「シミュレーションの結果だけではなく、テストを使った時のデータやフィールドでテストした時のデータなどを融合することによって、さらに高いレベルのインサイト(知見)を生成できる」ともしており、実用的なインサイトを生むことができる点もメリットだとしていた。
過去から構築してきた膨大な量のデータを持っている顧客も多いが、それを真に使いこなせている企業は少ないとも言われている。しかし、機械学習を活用すれば、過去の知見を含むデータを将来の設計へとつなげることができるほか、設計のみならず製品開発にもその知見を適用できるようになるとのことで、シミュレーションと生成AIが組み合わさることで、開発のプロセスそのものも約50%削減することができるだろうとしていた。
同社はAnsys SimAIの提供を通じて、企業の研究開発を加速と製品開発サイクルの短縮実現に貢献するほか、広範な設計探索を可能にすることで、人間の創造性の促進そのものにも貢献していきたいとしていた。なお、AI機能を拡張するAnsys AI+製品やAnsysGPTなどのAI対応製品は、2024年第1四半期からの提供開始を予定している。