STマイクロエレクトロニクスは、2.3k解像度のオール・イン・ワンdToF測距センサ(3D LiDARモジュール)「VL53L9」および500kピクセルの小型iToF測距センサ「VD55H1」を発表した。
VL53L9は、最大2.3kゾーンの解像度を実現するdToF 3D LiDARセンサで、デュアル・スキャン投光イルミネータを組み込んだことで、小さな物体やエッジの検出が可能となり、2D赤外線(IR)画像および3D深度マップ情報の両方を取得することができるとする。すぐに使用できる低消費電力モジュールとして提供され、dToF処理機能がチップ上に集積されているため、外付け部品やキャリブレーションが不要になる点も特徴だという。
また、カメラアシスト性能の向上につながるクローズアップ撮影や望遠撮影などといった複数機能も搭載。これにより例えば静止画および60fpsの高速動画において、レーザーオートフォーカスやボケ効果、シネマ効果などの機能を使用することができるようになるほか、VR(仮想現実)システムでは、高精度の深度および2D画像を利用して空間マッピングを強化することで、ゲームなどのVR体験(バーチャル・ビジットや3Dアバターなど)の没入感を高めることができるようになるとしている。また、短距離から超長距離まで、小さな物体の境界を検出できるため、仮想現実やSLAMといったアプリケーションでの利用も可能だという。
一方のVD55H1は、モバイルロボットのディープ・ビジョン・システムを手がける中国Lanxin Technology子会社のMRDVSが、3Dカメラに搭載する高精度の深度センサとして採用を決定、すでに量産を開始しているという。VD55H1を搭載した超小型カメラに3DビジョンとエッジAIを組み合わせることで、モバイルロボットにインテリジェントな障害物回避機能と高精度のドッキング機能が提供されることになるという。
STによるとVD55H1は、マシンビジョン以外として、3D WebカメラやPC周辺機器、VRヘッドセットの3D復元、人数カウント、スマートホームやスマートビルディングにおけるアクティビティ検知などにも最適とのことで、672×804センサピクセルによる50万ポイント以上の測距によって3次元表面を正確にマッピングできるとするほか、独自の積層ウェハ製造プロセスと裏面照射技術により、小型・低消費電力ながら高い解像度を実現したとする。
なお、VD551Hはすでに量産出荷を開始済みだが、VL53L9の方は現在、主要顧客向けに初回サンプルが提供されている段階で、2025年前半に量産が開始される予定だという。