ジオテクノロジーズは3月5日、同社が保有する人流データを活用して東京大学・麗澤大学の研究者らと、街のウォーカビリティを測る指標「街歩きインデックス」を共同開発したことを発表した。
今回、共同開発された街歩きインデックスは、歩行者が好んで選択する道順や場所を示すものであり、それを地図上にスコアで可視化することで、歩行経路の選択志向を理解しやすくするもの。スコアが高くなればなるほど、遠回りにも関わらず選ばれる、つまり「居心地が良く歩きたくなる街路空間」ということになる。
街歩きインデックスの計測手法
人々が出発地点から到着地点まで徒歩で移動する際には、最短距離を選ぶことが時間的にも体力的にも効率的である一方で、実際には道路の勾配や雰囲気、景色や交通量の問題から最短距離の道以外を通ることが多々ある。
これらのような歩行経路の選択志向を可視化する仕組みとして、1つの歩行移動に対し、目的地への最短経路に-1点を、そして実際に選ばれた歩行経路に+1点を与え、最短経路を通った場合、-1点と+1点が与えられて0点に、最短経路ではないのに選ばれた経路には+1点、最短経路にも関わらず選ばれなかった経路に-1点とするという方法で計測される。
この方法での計測により、遠回りにも関わらず選ばれるスコアの高い「居心地が良く歩きたくなる街路空間」が分かるという仕組みになっている。
また測定にはジオテクノロジーズが集めている人流データを活用することで、高頻度の取得間隔と高精度な位置データによって「どの方向に、どのぐらいの速度で」移動したかまで分析することが可能。加えて、ユーザーに任意で回答してもらう属性アンケートのデータを組み合わせることで「どんな人が」移動したか詳細に観察することができる。
浅草・スカイツリー周辺の道路を分析
今回は、この街歩きインデックスを用いて東京都の浅草・スカイツリー周辺の道路を分析した。よりスコアが高い道を赤、低い道を青で表現すると以下のようになっている。
この結果から、観光地である浅草寺やスカイツリー周辺や隅田川沿いで特にスコアが高いということが見て取れた。この周辺は、墨田区が主体となって取り組んだ北十間川・隅田公園観光回遊路整備事業によって東京スカイツリー・浅草間の賑わい創出と観光回遊性向上を目的に整備が行われた地域になっており、整備効果が表れていることが伺える。
ジオテクノロジーズは、今後も人流データを分析することで、新たな効果測定が可能となり、これを活用して実際の整備効果を検証し、健康な街づくりに寄与できることを期待している。