【インタビュー】実正 角谷昭博営業部長「『ナイアシンアミド』11%超配合クリームも開発」

化粧品OEMの実正は、「自然派」と「確かな効能」の両方の要素を兼ね備えた化粧品の開発に強みを持つ。最近では、注目の成分である「ナイアシンアミド」を11%超と高配合した美容クリームの開発にも成功。新開発の「超臨界CO2抽出アマニ油」を配合した化粧品も好評だという。同社の角谷昭博営業部長に話を聞いた。

――自然派化粧品の最新開発例について聞きたい。

ナイアシンアミドを11%以上と高配合した美容クリーム「ナイアシンアミド11%+(プラス)ラメラ液晶クリーム」の開発に成功した。安定性に関する最終チェックも終えており、問題がないことを確認している。すでに採用例も生まれている。化粧品として販売していただくことを想定している。

パラベンを始めとした防腐剤フリー、鉱物油フリー、アルコールフリーなどをうたえる処方となっており、自然派化粧品として提案できる。

ナイアシンアミドは、シワ改善・美白効果を持つ医薬部外品の主剤としても、近年注目されている成分だ。クリームでここまでナイアシンアミドを高配合したものは、なかなかない。ナイアシンアミドは刺激性がそれほど強くないため、高配合しても、特に問題はない。

当社では以前から、肌の細胞間脂質に類似したラメラ液晶構造を再現できる「ラメラ液晶乳化」の技術を持っていた。この技術を応用し、人型セラミドの原末を1%以上安定的に高配合した「セラミド導入クリーム」の開発にも成功していた。この液晶乳化技術を応用することで、ナイアシンアミドの高配合が可能になった。

「ナイアシンアミド11%+(プラス)ラメラ液晶クリーム」は、ラメラ液晶構造になっているため、①肌なじみよく角質層の隅々まで成分を浸透させ、潤いを逃さずハリのある肌に導く②皮膚のバリア機能を向上させる――といった働きも期待できる。疑似皮膚モデルを使った試験では、浸透性が高いことも確認している。塗布前に比べ皮膚保湿効果が大幅に高まることも、試験により確認している。

なお、「セラミド導入クリーム」についても、パラベンなど防腐剤フリー、鉱物油フリー、アルコールフリーを実現しており、自然派化粧品として提案していただける。

「セラミド導入クリーム」については、「肌荒れ・荒れ性」への有効性をうたう医薬部外品への対応も可能だ。

――他にも、自然派化粧品として適した新開発品はあるか?

当社では、植物などの天然素材から超臨界抽出を行う技術を持っている。このほど当社では、ニュージーランド産のアマニから超臨界抽出を行った「超臨界CO2抽出アマニ油」の開発に成功した。「超臨界CO2抽出アマニ油」には、①肌にハリを与えるコラーゲンの産生を促進する ②肌の弾力を保つエラスチンの分解を抑制する――といった働きがあることが、当社の行った試験で確認されている。こうした研究成果は、2022年度の日本農芸化学会でも発表している。

――超臨界抽出についてより詳しく教えてほしい。

二酸化炭素の超臨界流体を使ったエキスの抽出法だ。この技術を用いれば、天然素材から独自性の高い成分を抽出し、化粧品に配合することが可能だ。他の抽出法では得られない有効成分を抽出することも可能になる。超臨界抽出は、特別な溶媒を使用しない抽出技術であるため、自然派化粧品などとの相性も良い。

当社では、これまでも超臨界抽出技術を応用することで、美白の効能を持つ「コメヌカ超臨界CO2エキス」「エゴマ種子超臨界CO2エキス」「ハトムギ超臨界CO2エキス」や、美白と抗シワの効能を併せ持つ「久慈産琥珀超臨界CO2抽出物」を開発してきた。「超臨界CO2抽出アマニ油」は、超臨界抽出技術を応用した、最新の開発品といえる。いずれのエキスも、国内の自社工場で抽出を行っている。

――「超臨界CO2抽出アマニ油」の研究成果についてより詳しく教えてほしい。

コラーゲンの産生促進効果については、0.0001%という低濃度でも有意な効果が確認されている。

エラスチン分解酵素活性抑制効果については、低温圧搾アマニ油など他の抽出法で得られるアマニ油に比べても強力であることを、試験により確認している。「超臨界CO2抽出アマニ油」の濃度を増すほど、エラスチン分解酵素の活性を抑制する効果が高まることも確認している。

なお、コラーゲン産生促進効果は、エタノール抽出のアマニ油にもあることが分かっている。そのため当社では、「超臨界CO2抽出アマニ油」とエタノール抽出アマニ油を同時に配合することもお薦めしている。

――2024年の抱負についても聞きたい。

今年は、わが社の目標として「飛躍」を掲げている。当社が飛躍を遂げるためには、まずお客さまが潤っていただく必要がある。お客さまが潤うためには、その先のユーザーの方々の美しい肌を作る化粧品開発を進めていく必要があるだろう。お客さまともども「飛躍」を遂げられるよう、新製品の開発や、製品の品質向上に向けて、全社一丸となって取り組んでいきたい。

■実正

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