HPは2月29日(現地時間)、月額定額料金でプリンタをレンタルし、インクの補充や24時間年中無休の電話・チャットサポートなどを含んだ新サービス「HP All-in Plan」を発表した。料金はプリンタの種類や月当たりの印刷枚数によって異なり、最も安価なプランは月額6.99ドル、最も高価なプランは月額35.99ドルとなっている。対象地域は米国のみとなっており、その他の地域への展開については明らかにされていない。

  • プリンターのサブスクリプションサービス「HP All-In Plan」

    プリンターのサブスクリプションサービス「HP All-In Plan」

HP All-in Planの特徴

HP All-in Planを契約した場合、プランごとに決められたプリンタを初期費用無料でレンタルすることができる。プランにはインク代も含まれており、インク切れは自動で検出され、なくなる前に自宅に配達される。トラブルが生じたときは電話はまたチャットによる24時間365日サポートを受けることができ、故障の場合は最短で翌営業日に代わりのプリンタが届けられる。

利用できるプリンタは次の3機種となっている。

  • HP ENVY 6020e
  • HP ENVY Inspire 7258e
  • HP OfficeJet Pro 9010e

月額料金は利用するプリンタの機種と月当たりに印刷可能なページ数によって決まる。例えばHP ENVY 6020eの場合、月20ページの印刷で6.99ドル、50ページで8.99ドル、100ページで10.99ドルとなる。最も高価なのはHP OfficeJet Pro 9010eで月700ページ印刷可能なプランで、この場合は月額35.99ドルとなっている。

料金の詳細は、次の公式ページの「Customize plan」で、対象のプリンタと月当たりの印刷ページ数を選択することで確認できる。

印刷ページ数が月当たりの最大量を超えた場合は、1セット(10〜15ページ)あたり1ドルが自動で課金される。最大量に近づいた際は通知のメールが届くものの、それで印刷が停止されることはなく、自動課金で継続して印刷できるという。

プランを開始してから最初の30日間は無料だが、30日を過ぎてから2年以内にキャンセルする場合は、利用期間に応じたキャンセル料が発生する。

HP All-in Planを利用する場合の懸念事項

HP All-in Planの特徴はプリンタ導入の初期費用が不要で、インク残量や故障の心配をする必要がないという点では画期的なサービスと言える。しかし、利用にあたり懸念もある。

一つは前述のように2年以内のキャンセルはキャンセル料がかかるという点である。キャンセル料は最大で270ドルとなっており、普通にプリンタを購入するよりも高額である。

  • 2年以内にキャンセルした場合のキャンセル料

    2年以内にキャンセルした場合のキャンセル料

プリンタを常にインターネットに接続しておかなければならないという点にも注意が必要だ。これはインクカートリッジのステータスや印刷ページ数などをHPが監視するためだが、その他にも印刷されるドキュメントの種類や印刷ジョブを発行したデバイスに関する情報などもHPに送られるという。これは組織のプライバシーポリシーに抵触する可能性がある。

レンタルしたプリンタでは、HPが提供する純正のインクカードリッジ以外は使用できない。また、サブスクリプションで送られてくるインクは、レンタルしたプリンタ以外で使用することはできない。このことは複数台のプリンタを所有する場合などに、管理を煩雑にするかもしれない。

さらに、プリンタの管理はHPに依存することになるため、ファームウェアのアップデートのタイミングなどをどの程度まで自分で管理できるのかも気になるところだ。

本稿執筆時点では、HP All-In Planは米国でのみ利用可能となっており、日本を含めた米国以外の国ではサポートされていない。