台湾の台中市政府が提供する市政ニュースよると、TSMCが2nm以降の先端プロセスを採用する半導体工場の建設に向けた中部科学園区 台中園区(台中パーク)の第2期拡張計画について、台湾政府内政部が都市計画変更の申請を承認したという。台中市長の盧秀燕氏が公式発表した。

第2期拡張工事の1棟目は2027年に完成する予定で、盧台中市長は、28日に開催された市議会において「TSMCは台中市にすでに3つのファブを持っている。世界のサプライチェーンと膨大な注文量のニーズに応えるためのTSMC台中工場の第2期工場拡張を歓迎する」と述べている。

また、中部科学園区管理局の許茂新・局長は、台中市政府による公告後、管理局として用地取得手続きを進め、早ければ6月末までにTSMCに引き渡せると説明している。TSMC台中工場の第2期拡張区画は延べ89.79haほど、年産額は5000億NTドル(約2兆4000億円、1NTドル=4.8円換算)が見込まれ、4500人の雇用機会を創出する見通しだという。

もともと台中工場の第2期拡張計画は、2nmプロセスファブを建設することを目的としていたが、環境アセスメントに時間を要したことを受け、当時、マチュアプロセス用に建設を進めていた高雄工場を2nm用に変更した経緯があるほか、新竹・宝山地区でも2nm対応ファブの建設を進めているため、台中工場の第2期拡張工事は、当初計画されていた2nmプロセスではなく、1.4nmプロセス以降のさらなる微細プロセスではないかと台湾の半導体関係者はみている。

TSMC熊本工場を反面教師に水不足と交通渋滞対策を実施へ

台中市長によると、TSMCの工場建設による影響の可能性は、まず第一に水と電気の問題であると指摘している。なぜなら、TSMCの既存工場と第2期で拡張される工場の年間電力消費量の合計値は、台中市の年間平均1日電力消費量の約39%を占めると予想されているからである。

台中市長は、日本の熊本市がTSMC熊本工場の稼動により水不足となることが懸念されているという事実を考慮して、台中新工場の建設によって地元住民の生活や工業用水、電気などといった各種インフラに影響を与えないように、台湾の水道および電力会社が台中市に給水と電力供給を優先することを保証する公式文書を受け取っていると繰り返し述ベており、台中市民に向けて心配しないように呼び掛けている。また、台中市長は、水道および電力会社に台中市への給水と電力供給を優先するよう命令を出した台湾政府の王美花経済部長(日本の経済産業大臣相当)への感謝の意も示している。

このほか台中市長は、TSMCの熊本への進出によって深刻な交通渋滞が引き起こされている問題などを考慮して、交通の流れを緩和することを目的に、周辺の道路建設予算の獲得に向け、台湾政府による助成金の獲得に向けて引き続き政府への提案を行っていくともしている。