「改革の流れを進化、加速させ、企業価値を向上させていく」と話すのは大和証券グループ本社次期社長の荻野明彦氏。
2023年12月22日、大和証券グループ本社は社長交代を発表した。社長には副社長の荻野氏が昇格、社長の中田誠司氏は会長、会長の日比野隆司氏は特別顧問に就く。
荻野氏は1966年1月静岡県生まれ。89年早稲田大学理工学部卒業後、大和証券入社。理系出身だが、中田氏は「彼から理系を感じたことはない」と話し、荻野氏も「自分でもそう思う」と笑う。
経営企画や人事が長く、デジタル化の推進などを担ってきた。若手時代には、住友銀行(現三井住友銀行)との法人事業の統合、個人営業の分社化といった重要案件で活躍した。
中田氏は荻野氏を「私より胆力がある」と評する。そして「自分が仮に、就任1カ月で辞任することになったとしたら、後任には荻野を考えていた」と話し、社長就任当初からの「本命」だったことを明かした。
中田氏は、証券業の強化と同時に、証券業以外の業務を伸ばす「ハイブリッド戦略」を推進してきた。また、営業改革も実行。中田氏は荻野氏と「二人三脚で進めてきた」と話す。
24年4月から新たな中期経営計画が始まる。このタイミングでの交代は、計画を新社長の下で進めて欲しいとの狙いがある。
折しも24年からは「新NISA(少額投資非課税制度)」が始まっている。「貯蓄から投資へ」に向けて、これまでにないほど機運が高まる。その中でコンサルティングを中心とした総合証券会社としての強みをいかに発揮するか。「常に変化」と訴える荻野氏の手腕が問われる。