「不適切事案については経営の最優先課題として取り組む。今後、このようなことを起こさないようガバナンスを強固なものにしていくのが経営の責任」─東京海上ホールディングス社長の小宮暁氏はこう話す。
2023年12月20日、東京海上HDの主要事業会社・東京海上日動火災保険の社長交代が発表された。24年4月1日付で社長には執行役員の城田宏明氏、社長の広瀬伸一氏は代表権のない会長に就く。
小宮氏は選任の理由について「それぞれの場所で社員の力を結集し、お客様、マーケット、第一線の社員の視点を持って前例にとらわれないチャレンジを実行し、体現している」と話す。
城田氏は1969年神奈川県生まれ。92年成蹊大学法学部卒業後、東京海上火災保険(現・東京海上日動火災保険)入社。営業の現場経験が長い他、17年から広報部長も務めた。直近は執行役員営業企画部長を務める。実に33人抜きでの社長就任。
「お客様起点で、これまでのビジネスモデルを真摯に見直すことを含め、信頼回復に向けて取り組んでいく必要がある」と就任に向けた思いを語る。
損害保険業界は中古車大手・ビッグモーターの不正請求問題、そして大手4社による「カルテル問題」で大きく揺れている。
カルテル問題では、23年12月26日には金融庁が4社に対して業務改善命令を出した。金融庁の調査によると、口頭・書面で前任者から引き継ぎがあったケースが41%あり、長年の〝慣習〟となっていたことが明らかになった。企業向けの「共同保険」のビジネスモデル、4社寡占の現状を見直す必要がある。
東京海上HD社長の小宮氏は、こうした事案の反省を含め「100年に一度の変革の時。今までのやり方を続けていたら、成長、利益につながらない」と社内を引き締める。
城田氏は、就任から重い課題を背負ってのスタートとなる。