経済産業省(経産省)は3月1日、海外事業者が国内消費者に向けてネット通販で直接販売する際のトラブル増加を受けて提出した、「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案」が閣議決定されたと発表した。国内のECモールなどを通してネット通販で国内消費者に商品を直接販売する海外事業者に対して、新たに届け出を求め、責任の所在を明確化する。ECモール側には、国内消費者に危険が及ぶ恐れがと認められた海外事業者が販売する製品の出品削除を要請できるようにする。
ネット取引の拡大に伴い、国内外の事業者がECモールなどを通じて、国内消費者に製品を販売する機会が増大している。こうした環境変化に対応し、海外から直接販売される製品の安全確保や子ども向け製品による事故の未然防止を図るため、国内の消費者が製品を安全に使用できる環境を整備するため、「消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案」を提出している。
▲ECモールを通じた海外事業者による新たなビジネス形態
法案では、海外事業者がECモールなどを通して、国内の輸入事業者を介さず国内消費者に直接製品を販売する場合、海外事業者に対し、国内における責任者(国内管理人)の選任を求める。海外事業者を消費生活用製品安全法等の製品安全関連の4つの法律において届出を行える主体として明確化し、規制の執行を担保するのが狙い。
さらに、ECモールにおいて提供される消費生活用製品などについて、国内消費者に危険が及ぶおそれがあると認められ、かつ、その製品の出品者によってリコール等の必要な措置が講じられることが期待できないときは、ECモール側に、当該製品の出品削除を要請できるようにする。
▲危険を及ぼす可能性のある製品例
届出事業者や国内管理人の氏名・住所等、法律や法律に基づく命令等に違反する行為を行った者の氏名等について、公表する制度も創設する。
閣議決定した法案を通常国会に提出し、早ければ2025年にも制度運用を開始する見通しだ。