B2Bマーケットプレイスのorosy、シリーズAで3億円の資金調達 海外進出を加速

B2B卸仕入マーケットプレイス「orosy」を運営するorosyは2月28日、リード投資家としてSpiral Innovation Partners LLPが運営するValue Chain Innovation Fundなどを引受先とし、シリーズAで約3億円の資金調達を実施した。調達した資金は、国内事業のさらなる成長と、海外事業立ち上げに向けた採用強化に活用する。

orosyの運営する「orosy」は、「すべてのひとに自由なリテールを」をミッションに掲げ、アジア・日本の小規模メーカーと世界中の小売店・EC事業者をつなぐB2B卸仕入マーケットプレイス。orosyが卸取引における両者の金融・在庫リスクを引き受け、「90日以内後払い」「売れ残り在庫は返品可能」「送料実質無料」など、直接取引よりお得な仕組みを提供している。

2020年9月の「orosy」の開始以降、6000社以上の卓越したブランド、地元の店舗に利用されるマーケットプレイスへ成長しており、2023年からは、ミッションの実現に向け海外事業を展開。世界中の卸取引のサポートも開始した。

このほど、Spiral Innovation Partners LLPが運営するValue Chain Innovation Fundをリード投資家として、GxPartners LLP、東芝テック、ギフティ、Life Design Fund、個人投資家として佐藤裕介氏（STORES 代表取締役社長）、山本正喜氏（Chatwork 代表取締役）を引受先として、シリーズAで約3億円の資金調達を実施した。これにより累計調達額は6.4億円になった。

今回の出資では「物流、POSレジ、店舗運営、金融」など、広範な事業提携パートナーが株主として参画しており、今後は事業提携パートナーの強固なアセットと「orosy」を組み合わせ、卸取引の周辺領域への展開を推進するとしている。

今回調達した資金は、国内事業の強化、海外事業立ち上げ、機械学習の達成に向け、エンジニア職・ビジネス職を中心とした人材採用、およびプロダクト開発に充てる。

国内事業の強化においては、卸取引、およびその周辺領域への復数プロダクトの展開を図り、ホールプロダクトとしての提供価値の向上を目指す。

海外事業立ち上げにおいては、現在ジャマイカやカザフスタン在住のメンバーが在籍する海外チームの人員を増強し、日本・アジアの商品をアメリカ・ヨーロッパの小売店へ卸販売する。

機械学習においては、現在は1名の専任データサイエンティストの機械学習部門のチームを組成し、「マーケットプレイスにおけるマッチング精度の向上、90日後払いの与信管理、季節性等を考慮した需要と供給のバランス管理」などに取り組む。

【投資家からのコメント】

・Spiral Innovation Partners LLP （Value chain Innovation Fund 投資事業有限責任組合） 代表パートナー 岡洋氏

この度orosyに出資させていただいたことを大変嬉しく思います。同社はEC化が遅れる日本のB2B向け卸・仕入れ市場において、オンライン・マーケットプレイスを運営しているのみならず、物流面や金融面においてもさまざまな付加価値をバイヤー、およびサプライヤーに提供しており、今後同市場の発展に大きく貢献することを確信しております。また、今後のグローバル展開を通じ、従前より日本の強みでもあるものづくりを代表するようなMade-in-Japanの素晴らしい差別化商品を世界に届けるポジショニングにも期待しております。orosyの更なる成長に向けて伴走出来る事を楽しみにしております。

・GxPartners LLP 代表パートナー 中原健氏

日本のB2BマーケットのEC化は、欧米と比べて進展が遅れているが故に、莫大なポテンシャルを秘めています。特に、小売店が求める差別化商品の取り扱いや、仕入れプロセスに配慮したサービス設計において、orosyはそのニーズを巧みに捉え、優れた解決策を提供しています。これらの強みを基に、orosyがB2Bマーケットプレイスとしての地位を不動のものにし、今後大きな影響力を発揮していくことを確信しています。さらに、orosyのクロスボーダー機能は、日本製品の素晴らしさを世界中の小売業に届ける大きなチャンスを提供しています。私たちは、orosyがグローバルな橋渡し役として、日本の素晴らしい商品を世界市場に直接紹介する役割を果たすことを期待しています。

・東芝テック 執行役員 新規事業戦略部長 平等弘二氏

日本国内でもD2Cや独立系のブランドが発展拡大している中で、新たなファン顧客獲得や収益化に向けたチャネル拡大のニーズの高まりを感じています。小売業界においても他社が扱っていない商品を仕入れることで、新規顧客を獲得し、既存顧客のロイヤリティを高める動きが今後さらに強まると感じています。orosy様はその両社のニーズを繋ぐ架け橋としてのB2Bマーケットプレイスを展開されており、近い将来のCommerce領域においてかけがえのない重要な存在になっていくと期待しています。

・ギフティ 代表取締役 鈴木達哉氏

世界中の商品が手に入り、大量生産・大量消費が一般的な現代において、ブランドや小売店の独自の思いに寄り添ったサービスを提供しているorosy社に強い魅力を感じ、出資を決定いたしました。今後、私たちが手がけるeギフトの仕組みや流通網の活用、グループ企業との連携を通じて、法人向けギフトやブランド・小売店へのサービスの拡充など、市場が求める新たな展開を共に模索してまいります。我々の取り組みが、ブランドや小売店の持続可能な成長の一助となることを期待しています。

・Life Design Fund（イオンモールCVC、運営GPイグニションポイントベンチャーパートナーズ）渡邉祐子氏（OPA 代表取締役社長）

日々、新たに生まれる魅力的な商品の数々を、小売を通じて世界に届けるorosyの事業は、商業施設の未来を創造する素晴らしい仕組みであると感じています。今回の協業により、orosyが目指す「自由なリテール」の実現で、たくさんの方に魅力ある商品との出会いの実現を目指してまいります。