現在、Windowsに提供されるほとんどの更新プログラムは、インストールした後に再起動が必要となる。特に、重要なシステム機能のアップデートでは強制的に再起動が行われるため、これを煩わしく感じるユーザーも多いだろう。Windows Centralが「Microsoft wants to update your Windows 11 PC without forcing you to reboot」で伝えたところによると、Microsoftはこの問題の抜本的な改善に取り組んでおり、再起動せずに更新プログラムをインストールできる仕組みを開発中だという。
メモリーに直接パッチを適用する「ホットパッチ」
再起動せずに更新プログラムをインストールする仕組みは「ホットパッチ(Hot Patching)」と呼ばれている。MicrosoftはすでにAzureプラットフォーム向けの一部のWindows Server仮想マシンに対してホットパッチ機能の提供を開始している。ホットパッチでは、実行中のプロセスのメモリ内のコードに対して直接パッチを適用するため、パッチ適用後の再起動が必要ないと説明されている。
ホットパッチを利用すると、原則として更新プログラムのインストール時に再起動する必要がなくなる。実行中のプロセスそのものがパッチ適用後の最新版に変更されるからだ。ただし、定期的にリリースされる計画ベースラインの適用時には再起動が必要となる。
計画ベースラインには、前回の計画ベースラインからのすべての累積的な更新プログラムが含まれる。また、重要なセキュリティ更新などの臨時的にリリースされる更新プログラムについても、ホットパッチを利用できない場合には、再起動が必要となるケースもあるという。
一部のInsider Previewビルドではすでに利用可能に
Windows Centralによれば、このホットパッチ機能はWindows InsiderプログラムのDevチャネル向けの最新のビルドですでにテストが開始されているという。Microsoftが2024年2月22日にリリースしたWindows 11 Insider Preview Build 26058には「仮想化ベースのセキュリティ(VBS: Virtualizasion-based Security)」と呼ばれる機能の更新が含まれているが、リリースドキュメントではこの機能の更新の際に「更新プログラムのインストール時に再起動が発生しない可能性があります」と説明されており、これがまさにホットパッチにあたるとWindows Centralは指摘している。
このホットパッチの効果は、累積アップデートビルド26058.1300(KB5036082)のインストールに対して適用される。ビルド26058.1300を受け取ることができるのは、Devチャネルに参加しており、かつ仮想化ベースのセキュリティが有効になっているPCに限られる。また、仮想化ベースのセキュリティを有効にしていても、Arm版のWindowsではビルド26058.1300を受け取ることはできず、1つ前のビルド26058.1300(KB5036082)がインストールされる。
非公式な情報では、ホットパッチは2024年後半に予定されているWindows 11, バージョン24H2のリリースに合わせてx86版向けに正式展開される可能性があるという。ARM版は2025年にサポートされる見込みとのことである。