ユーラスエナジーホールディングスとJAXAベンチャー認定企業である天地人は、ユーラスエナジーの知見やノウハウを活用し、天地人がベースのアルゴリズムを構築した風力発電所の適地探索に特化した専用ツール「天地人コンパス 風力発電適地分析ツール」を開発したことを2024年2月28日に発表した。
風力発電所の開発に適している場所は、風況が良く、広大な土地や発電所の建設予定地までの輸送路に問題がないことに加えて、送電線が近くにある地域とされている。
しかしこの適地の選出にあたっては、風況や土地に関する公開情報をもとに候補地を絞り込み、その後数年単位で実際の風況観測や地理的条件の調査などを行って判断を行うため、時間もコストもかかる問題があるほか、途上国においては公開情報も少ないため適地の選出が難しく、いかに迅速かつ低コストで風力発電の適地を見つけられるかが課題となっているとする。
こうした課題解決を目指して2社が協力して適地を手間をかけずに見つけ、分析できる新たなツールとして、同分析ツールの開発を進めてきたという。
天地人が開発・運用をしてきた「天地人コンパス」は、地球観測衛星のビッグデータを始めとするさまざまなデータ(宇宙ビッグデータ)をもとに、解析、可視化、データ提供を行うWebGISサービスで、農業から都市開発まで目的に合わせてカスタマイズが可能で、ニーズに応じた最適な土地を宇宙から見つけることができることを特徴としている。
同分析ツールは、そうした天地人コンパスに、風力発電事業に30年以上従事してきたユーラスエナジーが培ってきた風力発電所の操業データや開発難易度の知見やノウハウをインストールすることで、天地人が持つ衛星データからの地形と降水量などの分析データと組み合わせ、迅速かつ低コストで隠れた適地を見つけることを可能にするものだという。
なお、ユーラスエナジーと天地人は、今後も同分析ツールの精度向上に向けた改善を進め、ユーラスエナジーで試験運用を行う形でノウハウを蓄積した後、システム販売も視野に入れていくとしており、同ツールの普及により、風力発電業界全体のさらなる拡大に貢献していきたいとしている。