NECは2月27日、内閣府が主導する戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)の研究課題「サーキュラーエコノミーシステムの構築」において、プラスチックなどの素材のライフサイクルを管理し、国内外で利用できる「プラスチック情報流通プラットフォーム」のプロトタイプを開発したことを発表した。これに伴い、同研究課題に参加している東レ、アミタホールディングスと共同で4月から実証試験を開始する。
プラスチック情報流通プラットフォームの概要
今回開発したプラットフォームは、素材を起点とした基盤システムであり、素材開発、製品製造、流通、回収、分別など、素材のライフサイクルの証跡をダッシュボード上で管理・可視化することを目指すもの。
また、素材の特徴を示す指標である物性や再生材の情報管理機能、高い信頼性を実現するトラスト機能を組み込むことで、幅広い用途において安心して活用することが可能となっている。
同研究開発では、日々の生活において必要不可欠な素材となっている一方、その廃棄が大きな問題となっているプラスチックを対象に取り組みを始めるという。
プラスチック情報流通プラットフォームの機能
同社は、プラスチック情報流通プラットフォームの機能として以下の3点を挙げている。
素材ライフサイクルの安全性の高い証跡管理
素材ベンダや製品ベンダ、リサイクラーが素材の製造ロット番号や原材料などの情報を同プラットフォームに登録することで、素材のライフサイクルの証跡管理が可能。また、プラットフォームに登録された素材や製品のデータをブロックチェーン技術で分散管理するとともに、システムに保管しているデータの完全性を担保することで、第三者によるデータの改ざんができない安全性の高い証跡管理ができる。
国内外でのデータ連携機能
同プラットフォームは、コネクタ機能により国内外の他プラットフォームとデータ連携ができるため、国内の取引はもちろん、よりトレーサビリティが求められる輸出入の際の素材や製品の証跡としても活用可能。国内では電子マニフェストシステム、DATA-EX、Ouranos Ecosystem、海外ではGAIA-Xなどとのデータ連携を予定している。
真正性機能や秘密計算技術を活用した高度なセキュリティ
NECが保有するデジタル署名・検証を利用した真正性機能と、データを秘匿化したままデータ分析・活用を行う秘密計算技術を活用することで、GAIA-Xなどの欧州データ連携基盤との接続に必要となるプライバシーやセキュリティに配慮した情報のやり取りが可能。
同社は今後、活用評価のための実証実験に参加する企業の拡大を図りつつ、プロトタイプシステムの機能強化に努める方針。また、2027年度までに社会実装を行い、自動車・建築業務など、SIPの取り組みとして200社の利用を目指す構え。