総務省は2023年の人口移動報告を公表した。東京都では、転入者数が転出者数を上回る「転入超過」が6万8285人となり、前年の3万8023人から大幅に拡大。新型コロナウイルス感染拡大前の水準に戻りつつある。政府は27年度に地方と東京圏との転入・転出を均衡させる目標を掲げているが、実現は厳しい状況で、東京一極集中の流れが再び加速している。
19年までの東京都の転入超過数はおおむね7万~8万人台で推移していたが、21年はコロナの影響などから過去最少の5433人にまで減った。しかし、22年から2年連続で拡大。コロナ禍が収束したことで、引っ越しなどの移動が活発化したとみられる。
東京23区は転入超過数が5万3899人。他の全ての市町村よりも多かった。東京都全体の転入者は前年比3.3%増の45万4133人。転出者は4.0%減の38万5848人だった。
都道府県別で転入超過となったのは埼玉、千葉、東京、神奈川、滋賀、大阪、福岡の7都府県。転入超過数が最も拡大したのは東京だった。
転出超過は40道府県。宮城、茨城、山梨、長野は22年に転入超過だったが、転出超過に転じた。転出超過数は広島が最多だった。
三大都市圏で見ると、東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川)は12万6515人の転入超過で、前年に比べて2万6996人拡大した。名古屋圏(愛知、岐阜、三重)は1万8321人、大阪圏(大阪、京都、兵庫、奈良)は559人の転出超過だった。
一方、転出超過数が3年連続でワーストとなった広島県の湯﨑英彦知事が記者会見で「国内の住民票異動しか見ていないゆがんだ統計だ。ちょっとおかしいんじゃないか」と発言した。
これに対し、松本剛明総務相は人口移動報告について「日本国内における人口移動の状況を明らかにすることを目的としているものだ。それぞれ統計には目的と内容がある」と説明。「分かりやすい統計の提供に努めてまいりたい」と付け加えた。