DNP(大日本印刷)、ユニアデックス、TXOneの3社は2月28日、工場向けのセキュリティ対策に関する事業の拡大、サービスの開発・提供に向けて協業し、同日に工場向けセキュリティのトータル支援サービスの提供を開始することを発表した。

工場で求められるセキュリティに関する知見と実績を持つDNP、システムとネットワークに精通したユニアデックス、OT(Operational Technology:製造業の工場のハードウエアを制御・運用するための技術)セキュリティ製品メーカーのTXOneの3社の強みを掛け合わせて、日本の製造現場の安全・安心を実現するセキュリティ対策関連のサービスを提供し、導入企業の競争力向上につなげていきたい構え。

  • 左から、ユニアデックス 代表取締役社長 田中建氏、DNP常務執行役員 沼野芳樹氏、TXOne 代表執行役員社長 近藤禎夫氏

    左から、ユニアデックス 代表取締役社長 田中建氏、DNP常務執行役員 沼野芳樹氏、TXOne 代表執行役員社長 近藤禎夫氏

3社協業の背景と狙い

ITやRPA(Robotic Process Automation)の導入などによる工場のスマート化が進み、工場のネットワークはクラウドなどの社内外のネットワークと接続されるようになった。それにともない、ITネットワークに加え、製造機器などを制御・運用するOTネットワークにも、身代金を要求するランサムウェアを始めとするさまざまなサイバー攻撃が行われるなど、工場の円滑な操業を妨げる被害が拡がっている。

このような背景を受けて3社は、各社の強みを掛け合わせ、工場セキュリティに関するコンサルティングや、製品・サービスの提供・保守・運用など、各企業の状況に合わせたトータルな支援を行うことになったという。

これにより、製造現場におけるゼロトラスト(つながる相手を無条件で信用せず常に検証すること)の実現や、災害・サイバー攻撃などのインシデント(脅威事象)発生時の事業継続に向けた対策につなげていきたい構え。

提供するサービスの概要

提供されるサービスは以下の3つ。

コンサルティング

リスクアセスメント(セキュリティ課題の洗い出し)、工場セキュリティガイドラインの策定、ネットワーク脆弱性診断など。

工場セキュリティ製品・サービス

資産の可視化、端末を保護するエンドポイントセキュリティ対策、端末間通信の制御装置、データバックアップ装置など。

運用プログラム

運用監視サービス(MDR:Managed Detection and Response)、制御システムインシデント演習教育、社員向けサイバーセキュリティ教育など。

3社は同サービスを自動車・食品・飲料・医薬品・半導体・精密機器などの幅広い業界に展開していく方針としており、特にDNPでは2025年度に累計50億円の売上を目指す。また、DNPの自社工場への導入も検討していくという。