ベネッセコーポレーションとソフトバンクロボティクスは2月27日、両社が共同開発した生成AI搭載の幼児向け会話型新サービスであるAI「しまじろう」の記者説明会を開催した。説明会には、ベネッセホールディングス 専務執行役員 CDXOの橋本英知氏、ソフトバンクロボティクス 取締役 CMOの蓮実一隆氏が登壇した。
説明会の後半には、親代表として、2人の娘を持つ太田博久さん(ジャングルポケット)と近藤千尋さん夫妻が登壇し、実際に壇上で子どもがサービスを体験する様子を見守った。
AI「しまじろう」とは?
今回発表された新サービスは、ベネッセの人気キャラクターであるしまじろうと自由に会話を行うことで、幼児の言語能力や基礎学力を鍛えるというもの。専用のスマートフォンアプリと、スマートフォンをホールドできる専用の「しまじろうぬいぐるみ」を組み合わせて使用する。
同サービスには、子どもが自由にしまじろうと会話できる「おしゃべり」の機能や、「ごっこ遊び」や「れんそうゲーム」など、ゲーム感覚で使える「あそび」の機能といった会話力を鍛えるコンテンツが搭載されている。また言語も日本語だけでなく、英語で会話する機能も搭載されており、英語の基礎学習にも活用できるという特徴を持っている。
これらの機能に加えて、会話中の子どもの感情や興味の動きについて、保護者に専用サイトでレポートする機能も搭載されているため、子どもの感情や興味を可視化して保護者に共有できるのも特徴的だ。
同サービスは、生成AIを活用した「幼児の言葉や、やり取りの豊かさをはぐくむサービス」として共同開発されたもので、共同開発の体制は以下の通り。ベネッセの教育ノウハウとソフトバンクロボティクスの技術力が結集されたサービスとなっている。特に近年ベネッセは「自由研究お助けAI」や「AI学習コーチ」といった生成AIを活用したサービスに注力しており、これらに続く形だ。
共同開発の背景には、これからの時代を生き抜くための「言葉の豊かさ」を育むという点が重要だったと橋本氏は語る。
「子どもたちが生きるこれからの時代は、グローバル化、デジタル社会と変化の激しい時代です。ベネッセとソフトバンクロボティクスは、未来を作っていく子どもたちに、そんな時代を生き抜く力を身につけてほしいと考え、今回のサービスの開発に着手しました。われわれは、これからの時代に必要な能力としてよく挙げられるコミュニケーション力や主体性・発信力、課題解決力といった力のバックグラウンドには『言葉の豊かさ』があると考えています」(橋本氏)
同サービスは、年少向け講座である「こどもちゃれんじ ほっぷ」の4月号受講者から抽選で1万人のモニターに提供される予定で、両社はここで得られたフィードバックを元に開発をさらに進めていきたい構えだという。
太田・近藤夫妻に見守られながらサービスのデモンストレーション
発表会の後に実施されたデモンストレーションには、6歳と4歳の娘を持つ太田さん・近藤さん夫妻と、体験役としてあおいくんが登場した。
最初に太田さんは4歳の娘を思い浮かべながら「娘も色々なコミュニケーションを取れる年齢になってきているが、言いたいことを上手く言語化できずにフラストレーションを溜めているのをよく見かける。言語力を鍛えることはコミュニケーション能力につながると思う」と話し、両社が目指す「言葉の豊かさの育成」に対して興味津々の様子だった。
最初にあおいくんは、おしゃべり機能を活用して、しまじろうと好きな食べ物について自由に会話を繰り広げる様子を披露した。「しまじろうは何の食べ物が好き?」というあおいくんの質問に対して「僕の一番好きな食べ物はイチゴのドーナツだよ」と自然に回答するサービスを見て、近藤さんは驚いた表情を見せていた。
また、おしゃべり機能の後には、「ごっこ遊び」や「わたしはだ~れ?」といったあそび機能の体験も行われ、あおいくんが遊びながら、自由にしまじろうとコミュニケーションを取る様子を見ることができた。
これらのあおいくんの体験を横で見ていた近藤さんは「普段娘たちと話す時、どうしても雑な日本語になってしまいがち。でもこのサービスのしまじろうは綺麗な日本語を使って話してくれるので親として安心できる」と笑顔を見せていた。
またこの近藤さんの言葉を受けて、太田さんは以下のように会見を締めくくった。
「しまじろうが喋る言葉は興味を持ってちゃんと聞けるし、それが正しい言葉だと子どもたちにとってすごくタメになると思います。この先、子どもたちが学ぶことはたくさんあると思いますが、それの一番土台となる部分をこのサービスで学べるのかなと思いました。しかも、ゲームなどを通じて楽しみながら興味を持って学ぶことができるのも素晴らしいなと思います」(太田さん)