サイボウズは2月26日、全国の自治体や社会福祉協議会(社協)が運営する災害ボランティアセンターで「kintone(キントーン)」を活用するメリット、ノウハウを盛り込んだ「災害ボランティアセンター kintone研修テキスト」(2024年版)を発行した。
「災害ボランティアセンター kintone研修テキスト」とは
2023年12月末時点で、24の自治体や団体で災害ボランティアセンターの運営にkintoneの活用もしくは活用の準備が進められており、その多くの団体から寄せられた「実践的なテキストがほしい」というリクエストを受け、サイボウズ災害支援チームに蓄積されたノウハウと最新の活用術を、1冊の冊子にまとめた。ページ数は86ページで、発行部数は1500部、販売価格は税込みで500円。
災害ボランティアセンター kintone研修テキストは、災害ボランティアセンターの運営支援システムのスムーズな導入を主な目的とし、災害支援ライセンスの申し込み方法から導入手順、災害時の効果的な活用方法を解説しており、平時の通常業務への応用やセキュリティ対策のポイントも学べる研修テキストとして利用が可能。
また、導入検討、導入・推進、現場運用向けの3つのパートで構成されているため、それぞれの立場に合わせて必要な情報を参照できる。
2020年1月から同社はパートナー企業と協力し、サイボウズ製品を6カ月無料で利用できるライセンスやシステム構築サポートなど、複数の支援サービスを含む災害支援プログラムを提供している。
[熊本を中心に大きな被害をもたらした2020年7月の豪雨災害や、熱海市伊豆山土石流災害など、kintoneを使った災害ボランティアセンターの運営は、感染症の感染拡大に備えつつ、現場担当者の負担を減らすなど、被災地の復旧・復興支援に効果を発揮。これらの実績をベースに作成した汎用的に使えるシステムは、被災状況に合わせて改良しながら各地に引き継がれているという。
kintoneは、災害ボランティアセンターが被災地の復旧を図るためにも導入されており、ボランティアの登録、受付、ニーズ管理でデータ入力の自動化や見える化、データ集計による予測をkintoneで実現することで、職員業務の効率化を実現している。
いわき市の事例
具体的な活用例として、2023年9月にいわき市で発生した大雨災害(台風13号)でのkintoneを使った災害ボランティアセンターの運営にでは、いわき市社協が平時よりkintoneを通常の業務で利用していたため、災害が発生してすぐに社協からサイボウズ宛に連絡があり、支援を開始。
社協が運営するいわき市災害ボランティアセンターでは、ボランティア参加者にWebフォームから活動予定日を登録してもらい、いつ何人のボランティアが活動できるかを予測することを可能とし、資機材や送迎車の手配など適切に受け入れ態勢を整備することができたという。
また、どこでどのような支援を必要としているかといった情報をkintoneに集約し、そのニーズと対応状況を地図上に表示することで、資材調達や人員配置などの活動方針を立てることを可能とした。
このようにシステムへのデータの登録や集計が自動化することで、ボランティアセンター運営職員の負担となっていた、ボランティア受け入れ準備や集計、報告作業が改善され、被災者への対応時間を増やすことができるようになるとのこと。
これらのシステム構築に要するのはわずか1日で、そこから数日で職員の利用が定着した。スムーズに進んだ要因は、いわき市社協の職員の方々が通常の業務でkintoneを利用しており、操作に慣れていたからだという。