日立システムズは2月26日、宮城県牡鹿郡女川町の町有林を対象に、石巻地区森林組合の協力のもと、森林調査の効率化を目的に、ドローンとAI解析ソフトウェアを活用した森林調査のDXに関する実証実験を行ったことを発表した。森林情報取得調査において約8割の業務工数削減が見込めることを確認したという。

  • 今回の実証実験の流れ

    今回の実証実験の流れ

実証実験の概要

この実証実験は、女川町との協創プロジェクトの一環として実施したもの。日立システムズがイメージワン、DeepForest Technologies、柳土木設計事務所と連携し、ドローンを活用して、町有林経営計画策定対象となる森林の樹木検出や樹種識別、林相区分図の作成などを実施した。

ドローンによる写真測量ならびにLiDAR測量を実施後、AI解析ソフトウェア「DF Scanner」やレーザードローン用点群処理ソフトウェア「DF LAT」を活用することで、専門知識を有していなくても、樹木検出や樹種識別、林相区分図の作成、各樹木単位の幹材積量(樹木の体積)推定といった森林資源情報のデジタル化に成功。林相の分析結果から、すべてスギだと思われていた場所が実際にはヒノキやアカマツ、広葉樹もあることが分かり、町有林経営計画の見直しや詳細化に貢献できたという。

  • 林相の分析結果

    林相の分析結果

19人日から4人日に削減

また、実証実験の結果、石巻地区森林組合をはじめとした多くの森林組合などが所有しているLiDAR非搭載型ドローンのデータでもLiDAR測量データを用いた分析と比べて遜色ない林相の分析などが可能であることがわかったという。加えて、実際に森林に入って行う実踏での森林情報取得調査では19人日ほどかかる場所でも、ドローンとAI解析ソフトウェアを活用すると、わずか4人日程度で実施可能であることが確認できたということだ。

これにより、短時間での詳細かつ正確な森林資源情報の取得や、経営計画の策定などに寄与するデータを作成可能となること、そして業務工数やコスト削減を見込めることが確認できたとしている。

  • 実証実験の様子

    実証実験の様子

日立システムズは、この実証実験で得たノウハウを活用することで、森林調査のDXを支援する新サービスの提供を2024年度中に開始する予定だという。また、カーボンクレジットのひとつであるJ-クレジット創出のための、LiDAR搭載ドローンでの高精度な森林資源情報取得にも対応予定だということだ。

  • 解析成果の一部

    解析成果の一部