米Bluesky PBCは2月22日(現地時間)、フェデレーションの早期アクセス版をリリースした。これにより、Bluesky PDS(Personal Data Server)をセルフホストして、「ATプロトコル」(atproto)に基づく分散型ネットワークに参加することが可能になった。

Bluesky PBCはATプロトコルを開発するとともに、同プロトコルを用いたSNSアプリケーション「Bluesky」を提供している。Blueskyは長く招待制の制限を設けていたが、2月に撤廃し、その後ユーザーを急増させている。イーロン・マスク氏による買収後のX(旧Twitter)の混乱を受け、中央集権的なサービスに束縛されない自由を求め始めたSNSユーザーの移行先候補の1つとして、Mastodonとともに注目を集めている。

BlueskyとMastodonはどちらも「分散型」と呼ばれているが、ATプロトコルのBlueskyとActivityPubを使用するMastodonでは仕組みが異なる。

Mastodonはコミュニティやユーザーの多様性を重視し、インスタンス(サーバー)ごとに独自の規約や機能を設定できるため、ユーザーは自分の好みや価値観に合ったインスタンスを選択できる。選択の幅は広いが、インスタンスに縛られるという点では中央集権的なサービスと同様の不自由さがある。

BlueskyはATプロトコルにおけるデータ・ホスティングを、Mastodonのような本格的なソーシャルメディア・サービスではなく、Webホスティングのようなシンプルでコモディティ化されたサービスにしようとしている。Webでは、誰でもサイトを立ち上げることができ、多くのホスティング業者から1つを選択し(あるいは自分でホストし)、後で変更することも可能だ。他のホスティング業者に移行しても、自分のドメイン名を使用して以前と同じようにWebサイトを提供できる。

Blueskyのフェデレーションは、ATプロトコルに基づいたよりオープンでユーザー主導のソーシャルメディア・エコシステムを目指している。Mastodonではインスタンスがコミュニティを決定するため、どのサーバーに参加するかで、体験や閲覧できるコンテンツが異なるが、Blueskyでは常にグローバルな会話に参加でき、フィードの表示やどのアカウントをフォローするかによって体験が決まる。自分のドメイン名をユーザー名として使うことができ、サーバーを変更しても、ユーザー名、フォロー、投稿とともに移動できる(アカウント・ポータビリティ)。Mastodonに比べるとPDSの役割の範囲は限定されるものの、Webのようなよりオープンで流動的なデータ・ネットワークの可能性が広がる。

初期アクセスでは、ネットワークやリソースの乱用を防ぐためにPDSホストに制限が設けられる。具体的には、各PDSは10アカウント、1500 evts/hrと10,000 evts/dayに制限される。これらを超えると、制限期間がリセットされるまでPDSのクロールが停止する。