米Googleは2月22日(現地時間)、Geminiモデルと同じ研究とテクノロジーから構築した軽量なLLM(大規模言語モデル)「Gemma」がGoogle Cloudで利用できるようになったほか、基盤モデルの「Gemini」がGoogle Workspaceのあらゆる規模のチームで利用が可能になったと発表した。
「Gemma」がGoogle Cloudで利用可能
Google Cloudユーザーは同日からVertex AIでGemmaモデルを使用してカスタマイズ、構築を開始し、Google Kubernetes Engine(GKE)上で実行できるようになるという。
Gemmaのリリースとプラットフォーム機能のアップデートは、Google Cloudを活用する開発者にとってAIをオープンで利用しやすくするという。Gemmaは、GoogleのGeminiモデルと同様の技術とインフラストラクチャコンポーネントを利用しており、Gemma 2BとGemma 7Bの2つのサイズのウェイトで利用できる。
両サイズとも、研究と開発の両方を可能にするために、事前トレーニングされ、さまざまなタスクとそれに対する出力の指示のデータセットを学習させることで汎用的なタスクに対応できるインストラクションチューニングし、リリース。
GemmaはColabやKaggle Notebook、JAX、PyTorch、Keras 3.0、Hugging Face Transformersのフレームワークなど、Google Cloudの開発者が使用しているツールをサポートしている。
また、同モデルはノートパソコン、ワークステーション、Google Cloud上で実行でき、開発者はVertex AIで構築・カスタマイズし、GKE上で実行できるようになっている。さらに、NVIDIAと協力してGemmaをNVIDIA GPU向けに最適化した。
同モデルはGemini 1.0 Pro、同1.0 Ultra、同1.5 Proモデルを含むVertex AI Model Gardenの130以上のモデルに追加される。Vertex AIでGemmaモデルを使用することで、開発者はモデルのチューニング、管理、モニタリングをシンプルかつ直感的に行うエンドツーエンドのML(機械学習)プラットフォームを利用できるようになるという。
Vertex AIを使用することで運用上のオーバーヘッドを削減し、ユースケースに最適化されたGemma のカスタムバージョンの作成に集中できるとのことだ。
例えば、Vertex AIでGemmaモデルを使用すると、開発者はテキスト生成、要約、Q&Aといった軽量タスク向けの生成AIアプリの構築、軽量かつカスタマイズされたモデルを探索と実験に使用した研究開発、テキストのストリーミングをはじめ、低遅延を必要とするリアルタイムの生成AIユースケースのサポートが可能になる。
さらに、単純なプロジェクトのプロトタイピングからエンタープライズ規模でのロールアウトまで、カスタムアプリを構築するためのツールを提供するGKEにGemmaを直接デプロイして、プロトタイプを構築したり、モデルの機能をテストしたりするための独自の生成AIアプリを作成することもできる。
GeminiがGoogle Workspaceで利用可能に
一方、Googleでは「Duet AI for Google Workspace」を「Gemini for Google Workspace」に刷新。これにより、GeminiはWorkspaceアプリに組み込まれ、エンタープライズグレードのデータ保護を備え、2月22日から展開を開始する。
Geminiとのチャットは、Gemini 1.0 Ultraを活用することで専門的な回答が可能となり、中小企業から大企業までさまざまなチームがGeminiを活用して、やり取りをプライベートに保つことができるという。
一例として、マーケティングマネージャーはGeminiを使用して、業界のトレンド、製品開発、競合他社のメッセージを分析することで、メールマーケティングキャンペーンのトピックを特定することができるという。こうしたトレンドを自社独自のサービスに直接結び付ける魅力的なコピーの作成を支援し、開封率を高める件名を生成することを可能としている。
また、事業部の成長を見極める責務を負っているビジネスアナリストは、Geminiを使用してトレンドを素早く特定し、製品の潜在的な新しい活用方法を見つけることが可能。Geminiとチャットすることで有望なビジネスチャンスを探索・検証し、その結果を経営層向けのビジネス提案としてパッケージ化することができるという。
Geminiはデータの調査や要約、複雑なデータセットからのビジネストレンドの発見、特定のオーディエンスの共感を呼ぶ魅力的なコピーの作成など、迅速かつ正確にアイデア出しから実行までのプロセスをサポートするとのことだ。
現在、Gemini for Google WorkspaceはDuet AI for Google Workspace Enterpriseに代わるGemini Enterpriseアドオンと、低価格であらゆる規模のチームや組織で利用可能なGemini Businessアドオンの2つのプランで利用が可能。
Gemini Businessアドオンは、中小企業の88%がデータ分析やタスク管理、メール作成、カスタマーサポートなどを支援する生成AIの活用に関心を示していることから、Geminiで作業を検討している既存のGoogle Workspaceユーザーと新規ユーザー向けにをリリースした。
Gemini Businessでは、Geminiをリサーチアナリストや編集者、カスタマーサービスアシスタント、クリエイティブパートナーのように利用できるという。価格は年間契約で1ユーザーあたり月額2260円。
もう1つのプランであるGemini Enterpriseアドオンも同様の機能を備えており、生成AIのヘビーユーザー向けにGeminiへのアクセスを提供。また、100以上の言語ペアのキャプションを翻訳することが可能で、会議の議事録を作成するAI機能も備えており、価格は年間契約で1ユーザーあたり月額3400円となる。
なお、Gemini Businessおよび Gemini Enterprise プランでは、会話が広告目的で使用されたり、人間によってレビューされたり、ほかの生成機械学習技術のトレーニングのために使用されたりすることはないという。