生物進化史におけるカンブリア紀のように溢れ出す昨今の情報。検索しても以前のように纏まった情報、たとえばカテゴライズされた情報には、なかなかたどり着けない。名前の決まっていないフォルダのなかにある無数の大量ファイルを探している感覚だ。組織イントラネットポータルなどに上がる情報も増加する。自身に直接関係のある情報と関係の無さそうな情報が混在していくとダンバー数(wikipedia)と同様に認知上限がこれを遮る。

すぐに消される情報や改訂履歴も残さずに内容を変えられてしまうような情報の区分も認知上曖昧になる。"告知"はしたはずだと言われても・・・これを防ぐために組織内でも重要な周知文書にPDFを用いるケースは多い。印刷やスマートフォンなどの環境でもレイアウト構造を維持した閲覧や電子署名を施した抗改ざん性、サーバー上からローカルへの配布・保管の容易さと、他のHTML文書とは一線を画す"格"が加えられる。段落や箇条書きなど数々の文書構造が情報の理解・伝達に重要な役割を担うのと同様に、PDFファイル自体が認知上でも大きな役割を担っている。

(同社公式動画より抜粋)

(同社公式動画より抜粋)

そんなPDFのソリューションを展開するAdobeの「Acrobat Reader」と「Acrobat」にAI Assistantが搭載されるというが入っている。長文のドキュメントから要約とインサイトを生成、会話型インタフェースを備え、質問に回答し電子メールやプレゼンテーションなど目的に応じた文書を生成する。日本語版の提供は未定だが、現地時間20日より提供開始のベータ版で数日から数週間以内にAcrobat Readerに追加される。

2023年6月に生誕30周年を迎えたAdobe Acrobatを祝して、同社はそのエピソードの数々を公式ブログに公開しているが、アドビの共同創設者John Warnock氏が開発した"元の書式を維持したまま、テキストや画像をデジタル共有できるPDF(Portable Document Format)"が現在では少なくとも3兆を超える文書として存在していることを記している。魔法のような文書フォーマットがさらに進化していくことが期待できそうだ。