矢野経済研究所は2月19日、単発バイト求人情報サービス事業者などを対象に実施した、国内のスポットワーク仲介サービス市場の調査結果を発表した。同調査によると、2022年度のスポットワーク仲介サービス市場(単発バイト求人情報サービス市場、短期バイト人材紹介サービス市場、人材マッチングサービス市場の3市場計)の市場規模は、前年度比30.6%増の648億円だった。

  • スポットワーク仲介サービス市場規模の推移 出典:矢野経済研究所

    スポットワーク仲介サービス市場規模の推移 出典:矢野経済研究所

スポットワーク仲介サービスとは?

近年、スポットワークという働き方は、「スキマバイト」や「ギグワーク」などの言葉で認知が広がっている。空き時間を活用したい学生やフリーターのほか、会社員が副業としてスポットワークを行うケースなどが増えているという。

スポットワーク仲介サービスは、「好きな時に好きな場所で働きたい」「副業をしたい」などの働き手のニーズと、「急な欠員を補充したい」、「特定のプロジェクトにだけ人材が必要」などの企業のニーズを取り込み、利用者数・利用企業数が順調に増加している。 数時間から数日単位で勤務する単発アルバイト求人情報を取り扱う単発バイト求人情報サービスは、「今日働ける仕事」が見つかり、勤務後は即日で報酬を受け取ることができるというスピード感のあるサービスモデルが特徴的だ。

フリマアプリ「メルカリ」もスポットワーク事業に参入

タイミーが手掛ける単発バイト求人情報サービス「タイミー」は、2023年6月時点で累計ワーカー数が500万人を突破。約4万6000事業者がタイミーを導入している。

また、国内フリマアプリなどを手掛けるメルカリは2023年11月、2024年初春にスポットワーク事業に参入すると発表した。同社のMAU(アプリの月間利用者数)2300万人のユーザ基盤を活用し、これまでの「モノ」「お金」「信用」の循環に「時間・スキル(働く)」を加えていく計画だ。

  • メルカリは2024年3月頃にスポットワーク事業に参入する

    メルカリは2024年3月頃にスポットワーク事業に参入する

利用者にとって大きなメリットとなる「報酬の即日受け取り」を実現するため、多くの単発バイト求人情報サービスで導入されているのが、報酬の立替払いサービスだ。サービス提供事業者は、立替払いという形で利用企業(雇用主)に代わって利用者の報酬を支払うことで、利用企業はすぐに人材を活用でき、利用者ごとの給与計算などの煩雑な手続きを簡略化することができる。

2024年度は824億円の市場規模に

矢野経済研究所によると、2023年度のスポットワーク仲介サービス市場の市場規模は、前年度比27.2%増の824億円になる見込みだという。2023年度は、働き手や企業にスポットワークという働き方に対する認知がさらに広がっていくことや、あらゆる産業での人手不足が続くことによって、スポットワーク仲介サービスの利用者および利用企業が増加していくと同社はみている。