日立製作所(日立)は2月16日、名古屋鉄道(名鉄)と共同で、名鉄グループの情報システム会社であるメイテツコムにおける社内文書の有効活用による業務効率化に向け、生成AI(人工知能)を活用した技術検証を実施したことを発表した。
日立のGenerative AIセンターが推進
この検証は、管理業務における業務効率化を目的とした生成AI活用の可能性や有用性を確認するため、2023年10月〜12月の期間、名鉄、メイテツコム、日立の生成AIの専門家を集結したGenerative AIセンターが協働して推進したもの。
具体的には、名鉄およびメイテツコムの業務で優先度の高いものから、生成AI活用の効果が見込まれるユースケースを選定した上で、日立が準備したデモ環境を用いて実際に生成AIを活用し、評価、チューニングを実施した。
検証では、印刷物のスキャンデータなどの非構造化データで構成される社内文書を活用したため、自然言語処理に精通した日立のデータサイエンティストが、 形式の異なる文書ごとにデータの取り込みを工夫するとともに、余分なノイズを落とすなど適切な前処理を行い、業務での利用を想定して最適化した知識データベースをユースケースごとに構築。
さらに、入力された質問に対して知識データベースから適切な文章が抽出できるように、基準となる検索手法の選択や生成AIが回答しやすい指示に言い換えるなどプロンプトエンジニアリングを組み込む技術支援を行ったという。
これにより、膨大な社内文書データからなる知識データベースをもとに、 スキャンデータや縦・横が混在するテキストデータなど形式の異なる資料でも、生成AIが要点を抽出して一定のレベルで適切な回答を出力し、回答精度が向上したことを確認できたということだ。
名鉄とメイテツコムは今回の技術検証を踏まえ、他の業務への生成AIの適用も引き続き検討するとし、日立は今後もGenerative AIセンターを核に、生成AIの利用を検討している顧客に対し、生成AIのビジネスへの活用に向けた取り組みを推進していく構えだ。