Infineon Technologies、フィンガルリンク、ネクスティ エレクトロニクスの3社は、60GHzミリ波レーダを活用した高齢者の見守りシステムの開発・導入に向けて協力することを発表した。
高齢化社会が進む日本において、医療や介護の現場での人材不足は社会課題となっている。また、一人暮らしの高齢者も増加傾向にあり、離れて暮らす家族などによる見守りニーズが増加しているともいう。
そうした社会環境において、フィンガルリンクが開発した高齢者見守りシステム(生体情報検出システム)は、Infineonの60GHz帯のミリ波レーダセンサ「XENSIV BGT60ATR24C」を採用することで非接触で服を着たまま対象者の在/不在情報、呼吸数・心拍数・睡眠情報、尿失禁情報といったバイタル情報を測定できるほか、内蔵されたサーモセンサにより非接触で体温の測定も可能としている。さらには通信機能も内蔵されているため、測定したデータをクラウドサーバに送信することで、同社独自のアルゴリズムに基づく解析から、設定したしきい値を越えた場合にアラートを鳴らすといったリアルタイムで正確な生体情報のモニタリングを遠隔で実現することができる。
また、端末機器はポストカードほどのコンパクトなサイズを実現しつつ、内部にセンサや通信機能を内蔵しているため、卓上や壁、天井などに簡単に設置できる点も特長だとしている。
Infineonでは、この60GHzレーダを提供することで、従来の赤外線センサよりも高精度かつ、布団や家具といった障害物の有無に関わらず人の動きを検知し、心臓の鼓動や呼吸などの検出を非接触で正確に測定できるようになったとするほか、端末機器の小型化にも貢献したと説明している。
また、ネクスティ エレクトロニクスは、今回の見守りシステム開発にあたり、出資先である韓国スマートレーダーシステムのアンテナ設計、モジュール化ノウハウを導入することで、より高い検知精度の実現などといった技術支援を行ったことに加え、フィンガルリンクと契約を締結し、同システムの販売支援とバイタルセンシングの新たなニーズ発掘を行うとしている。
なお、3社はこのミリ波レーダ生体情報検出システムにより、高齢者介護施設をはじめ、介護や医療、保育の現場など、多数の対象者の健康状態を見守る必要のある施設の負担軽減や、一人暮らしの高齢者の健康状態を遠隔地から見守ることも可能にするだろうとしている。