バーコードやIDなどをデータとしてキャプチャーする技術の開発・提供を行うScandit(スキャンディット)は2月7日、二つの新サービスの提供を開始した。一つは、実店舗に配架された商品の価格を、値札をスキャンするだけでリアルタイムに反映する「ShelfView(シェルフビュー)」だ。もう一つは、スキャンディットのスキャニング技術を既存のスマホアプリに組み込める「Scandit Express(スキャンディットエクスプレス)」だ。新サービスについて、スキャンディットのプロダクト責任者兼共同創業者のクリスチャン・フローケメイヤーCTOに聞いた。
ヤマト運輸も導入
――新たに提供を開始したサービスの中で、通販・EC向けのサービスについて、教えてほしい。
「スキャンディットエクスプレス」は、通販の物流や在庫管理の面で、大きなメリットを提供するサービスだ。
当社は、スキャンサービス「Scandit Smart Data Capture(スキャンディット スマートデータキャプチャー)」を提供している。バーコードや文字、ID(身分証明書)、物体を、スマホやタブレットのカメラから、リアルタイムにデータとしてキャプチャーし取り込むシステムだ。読み込んだ情報をもとに、スマホの画面上に、読み取った物体の値段や配送先の情報などを表示することができる。
国内では、宅配会社大手のヤマト運輸が導入している。ラストワンマイルの現場で、配送する荷物の情報の読み取りなどに使用している。
これまで当社のサービスを導入する場合、既存のソフトウェアを大きく変更したり、新たなスマホ用アプリを開発したりする必要があった。開発に時間やコストがかかっていた。システム担当者の高度なITリテラシーも必要だった。
新サービスの「スキャンディットエクスプレス」では、既存のアプリなどのソフトウェアを変更することなく、バーコードスキャン機能を追加することができる、ノーコードアプリケーションだ。
既存のアプリにスキャン機能を追加する場合も、アプリの管理画面内の特定の位置に、「スキャンする」ボタンを設置するだけで、カメラやスキャン機能を起動することができる。
日本国内の物流の現場では、専用のガン型のレーザースキャナを使うのが一般的だった。当社のサービスを使えば、従業員が使い慣れた自分のスマホでアプリを起動してスキャンすることもできる。
ECのピッキングプロセスにおいては、在庫の棚卸の際に、在庫数を細かに確認することがとても重要だ。重要な作業を、ヒューマンエラーのリスクから解放するために、テクノロジーを活用してほしい。
複数商品の価格を一度に変更
――「シェルフビュー」はどんな機能か?
実店舗の商品のラベルのスキャンにおいては、これまで、スキャンした後に、人の手によって正しい価格を打ち込むのが一般的だった。人の手による作業はエラーを起こしやすく、配架されている複数商品を一つずつ変更していく必要があった。
「シェルフビュー」を使えば、金額の入力を自動で行うことができる。価格の入力のミスや、価格の入力にかかっていた時間を大幅に削減することができる。一度に複数商品の価格変更を行うこともできる。
「シェルフビュー」を使えば、もし間違った金額が設定されている値札をスキャンした場合、スマホの画面上に注意を促す信号の点滅を、ARで表示することもできる。棚卸業務に慣れていない従業員でも、簡単に作業を行うことができる。
「Scandit Smart Data Capture」は、イオンリテールやオーケー、USMH、ヤマト運輸など、多数の企業が導入している。