ChatGPTの開発・運営を行っている米OpenAIのサム・アルトマンCEOが、巨額の資金を投じてAI向け半導体を製造する計画を進めており、半導体に投資するための資金調達でアラブ首長国連邦(UAE)政府などと交渉していると米Wall Street Journal(WSJ)が報じている。同紙によると、計画の実現には5兆ドル(1ドル150円換算で約750兆円)から7兆ドル(同1050兆円)が必要になる可能性があり、UAEなどの資金で開発したAIチップの量産に関しては、TSMCに半導体工場の建設と運営を任せる構想があるという。
これに対して、 米NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが、2月12日にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開かれた「2024世界政府サミット(WGS)」で、今後の数年間におけるコンピュータ技術の発達によりAIの開発コストは抑制されるとの見通しを示したと米Bloombergが報じている。OpenAIのサム・アルトマンCEOの7兆ドルの資金が必要との見解に対抗するた発言ととらえられている。
ただしジェンスン・フアンCEOは、AI向けデータセンターにかかる世界全体のコストは向こう5年間で倍増するとも予想している。具体的には、現在設置されているAIデータセンターの規模は約1兆ドルほどで、今後4〜5年でその規模は2兆ドルとなり、世界中のソフトウェアを動かしていく存在になるだろうとも述べたという。
NVIDIAの時価総額が1.83兆ドルに、米企業4位に
ちなみにNVIDIAの時価総額は2月12日に1兆8300億ドルに達し、1兆8000億ドルのAmazonを抜く形で米国上場企業の時価総額として4位に浮上したことが、米国の半導体業界で話題となっている。
AI半導体への需要急拡大を追い風に、NVIDIAの業績ならびに株価はこの1年で大幅に上昇しており、今回、その勢いを受ける形で新たな記録を打ち立てたこととなる。
なお、米国企業の時価総額トップはMicrosoftの3兆1100億ドル。2位がAppleの2兆9000億ドル、3位がGoogle親会社Alphabetの1兆8500億ドルとなっている。ちなみにNVIDIAとGPUで競合するAMDの時価総額は2772億ドル、AMD競合のIntelは1825億ドル、このほかQualcommが1674億ドルとなっており、米国半導体業界の中でもNVIDIAの時価総額の高さが際立っている。