マカフィーは2月14日、AI(Artificial Intelligence:人工知能)ツールがオンライン上での恋愛や婚活で果たす役割や、キャットフィッシング(他者の個人情報や画像を抜き取って新しい人物になりすますこと)やロマンス詐欺の増加に与える影響について調査した結果を発表した。
調査は2024年1月に、18歳以上を対象にオンラインアンケートを実施した。米国、英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、インド、日本の7カ国から合計7000人の成人がアンケートに回答した。
約半数の人が「愛のメッセージをAIが書いていたと知ったら傷付く」
調査の結果、米国男性の45%が今年のバレンタインデーにAIを使って愛のメッセージを書くと回答したことが明らかになった。日本男性では19%であり、日本人は恋愛やオンラインデートにおけるAI利用に関しては保守的な傾向が見られるようだ。
米国では69%(日本39%)の人が、「AIが書いた愛のメッセージのほうが自分で書くよりも相手から良い反応を得られた」と回答。このようにメッセージの送り手は肯定的にAIを活用している一方で、57%(日本47%)が「愛のメッセージをAIが書いていたと知ったら、傷つく・気分を害する」と回答した。
本当の恋か詐欺なのかを見分けるのは困難
米国人の58%(日本22%)が「恋愛を見つけるために出会い系Webサイト、アプリ、ソーシャルメディアを利用している、または利用したことがある」と回答している。一方で、AIツールの活用によりロマンス詐欺師は説得力のあるメッセージやリアルなプロフィール画像を作成し、オンラインで人々をだませるようになっている。日本人の半数は「AIが作った恋愛メッセージを見分けることができない」と回答した。
詐欺師は被害者から金を盗もうと、巧妙な手口で長時間にわたって誘いをかけてくる。米国人の57%(日本23%)が新たな恋人と出会ってすぐに送金を要求されており、そのうち30%(日本29%)が約15万円(1000ドル)以上の送金を要求されたと回答。
バレンタインデーに関連したロマンス詐欺も増加傾向にあるようだ。バレンタイン関連のマルウェアキャンペーンが25%急増したほか、悪質なURLの埋め込みは300%増、ロマンス詐欺のメールは400%増だ。大半がバレンタインのショッピングやギフトに焦点を当てており、バレンタインデーが近づくにつれ上昇傾向にあるという。
現代のオンラインデートは、相手を調べることが大事
米国では38%(日本9%)がソーシャルメディアや出会い系サイトで知り合った人のプロフィール写真を逆画像検索したことがあると回答した。また、60%がパートナー候補の情報を探るためにソーシャルメディアを利用しているようだ。
検索の結果、35%(日本7%)が「相手への好感度が上がった」、23%(日本5%)が「相手への好感度が下がった」と回答。13%(日本5%)は検索することで自分が詐欺に遭っていることに気付いたと回答し、7%(日本3%)は潜在的なパートナーが以前に他人を欺いていたことに気づいている。11%(日本2%)は検索によってその恋人が他の誰かと交際していることに気付いたとのことだ。
AI関連のロマンス詐欺と失恋から身を守るために
マカフィーは調査結果を受けて、出会い系アプリやソーシャルメディアを通じて恋愛相手から受け取るダイレクトメッセージを精査する必要性を訴えている。詐欺師を見分ける方法の例として、一貫して生成AIのメッセージを見るのが良いという。生成AIによるメッセージは一般的かつ中身が無いことが多いためだ。
相手が使っているプロフィール写真の逆画像検索も有効だという。恋人候補が別の名前を使用、あるいは話をしていたことと一致しない場合は、詐欺師と会話している可能性が高い。
また、実際に会ったことのない相手には、たとえ相手が先に送金してきたとしても金銭やプレゼントを送らない方が良い。詐欺師は被害者を油断させ、信頼を築くためにまず送金することが多く、相手が個人情報を教えてきた場合でも個人情報や口座情報を共有しないようにするべきだ。会ったことのない相手から届いたメッセージのリンクもクリックしないよう注意。
同社は新しい恋の相手については信頼できる人に相談すべきとしている。希望に満ち舞い上がっているときは、つじつまの合わないことを見逃しがちである。友人や家族が心配している場合には注意を払い、ゆっくりと相手と関係を深めていくのが良いそうだ。