ガートナージャパン(Gartner)は2月14日、ユーザー企業が現在ITコンサルティング・ベンダーへ委託している業務は、2029年までに30%はAI(人工知能)で可能になるとの見解を発表した。
2021年から2023年にかけて、国内コンサルティング・ベンダーの人員数や売り上げが急拡大した。同社は、国内コンサルティング・サービス市場は2022年に対前年比19.8%、2023年にも同10.7%で拡大したと推計する。
ただし、ユーザー企業ではコンサルタントの質を疑問視する声も強まりつつあるといい、人月単価に見合う成果が得られない、成果を測定できない、などの声が上がっているとのこと。
デジタル・ビジネスの立ち上げは、コンサルティング・サービスを利用する大きな目的に挙げられるが、新ビジネスの立ち上げはコンサルタントへ過度に依存せず、自社主導で行うべきというユーザー企業の意向の強まりも見られるという。
新たなデジタル・ビジネスの創出に加え、既存ビジネスの変革も企業がコンサルティング・サービスを利用する大きな目的だと同社は指摘する。
同社が2023年11月に国内で実施した調査では、新ビジネスの立ち上げに取り組む企業の中でコンサルティング・サービスを利用する企業の割合は41.4%だったのに対して、現在のビジネス・モデルの改善に取り組む企業でコンサルティング・サービスを利用する企業の割合も37.7%と、拮抗していたとのこと。
企業のAI利用は進展しており、特に2023年以降は生成AIも視野に入れた利用が活性化しているという。
顧客対応や品質管理など既存プロセスの問題点の洗い出しや改善提案を、AIから得ようとする試みも見られるようになっているとのこと。情報整理や理想像とのギャップ分析といった作業でのAI利用は加速し、今後5年のうちにはその大部分がAIに置き換わると同社は見ている。
こうした状況では、コンサルティング・サービスには、これまで無かった新たなアイデアやインサイトの提供など、より高度な価値が改めて問われるようになるという。