米国商務省、国防省、エネルギー省の首脳陣および国立科学財団と国立半導体技推進センター(Natcast)の最高経営責任者が2月8日(米国時間)にホワイトハウスに集まり、「国立半導体技術センター(NSTC)」を含む「CHIPS for America研究開発プログラム(CHIPS法に基づき米国の半導体研究開発強化のために5年間で110億ドルを助成する計画)」への50億ドル以上の投資予定を発表し、官民コンソーシアムであるNSTCを正式に発足させた。
CHIPS for America 研究開発プログラムには、(1)先端半導体の研究開発を行うNSTC、(2)先端パッケージングの製造技術の開発を行うNational Advanced Packaging Manufacturing Program(NAPAP)、(3)半導体製造デジタルツインの開発と人材育成を行うManufacturing USA Institute、(4)NISTにおける計測技術の研究開発強化、が含まれる。この中でもNSTCが中核的存在で、政府、業界、労働者、顧客、サプライヤー、教育機関、起業家、投資家を結集させ、アイデアから市場への新たなイノベーションのペースを加速するという。
官民コンソーシアムとして、NSTCは半導体の研究開発への参加の障壁を低くし、より活気のある国家エコシステムを構築し、熟練した多様な半導体労働力を創出するとしている。日本で設立された「技術研究組合 最先端半導体技術センター(LSTC)」とも提携して国際的な研究協業も計画されている。
NSTCの具体的な活動計画については、CHIPS for AmericaのNSTCプログラムディレクターであるJay Lewis氏とNatcastのCEOであるDeirdre Hanford氏が、2024年3月に発表するとしている。
米国のジーナ・レモンド商務長官は、「CHIPS研究開発プログラムは商務省の最大のイノベーションの中核であり、半導体業界の最も差し迫った課題の解決策を見つけるのに役立つ。研究開発への戦略的投資が対象業界のインセンティブを補完することで、CHIPS for Americaは半導体製造を米国に戻すだけでなく、半導体製造を永久に米国内にとどめるためのものである。私たちが高収入の仕事の機会を創出するとともに、多様で熟練した労働力を確保するのに役立つ」と述べている。
また、ホワイトハウス科学技術局のアラティ・プラバーカール局長は、「バイデン大統領の対アメリカ投資政策のおかげで、米国に半導体製造が戻りつつある。今こそ、米国が未来を確実に勝ち取る時である。NSTCは、我々のCHIPS研究開発投資が大きな進歩をもたらす場所であり、その進歩は米国の半導体産業に機会を開き、高賃金の雇用を創出し、サプライチェーンを強化するものだ」と述べている。