TrendForceによると、2024年はAI半導体のさらなる高性能化に伴い、スマートフォン(スマホ)、サーバ、ノートブックなどを中心とするさまざまなAIアプリケーション全体でDRAMならびにNANDの搭載容量が増加することが期待されるという。
もっとも成長が期待されるのはサーバ分野で、サーバ1台あたりのサーバDRAM容量は年間17.3%増、エンタープライズSSDは同13.2%増とTrendForceは予測している。またAIスマートフォン(スマホ)とAI PCの市場普及率は 2025年に顕著な成長が期待され、1台あたりの平均容量はさらに上昇すると予想されるともしている。
サーバ、ノートPC、スマホの中でスマホについては、半導体メーカーが処理性能の向上に注力しているものの、新たなAI機能の搭載が限定的なため、AIによる影響はある程度抑制されている。2023年はメモリが供給過剰となり価格が急落した結果、スマホ1台あたりの平均DRAM搭載量は17.5%増、NAND容量も19.2%増と伸びたが、2024年は新たなアプリケーションが期待されていないため、DRAM、NANDともに容量の増加率は鈍化し、DRAMは14.1%増、NANDは9.3%増とTrendForceは予測している。
一方のサーバは、AIに対する需要の高まりの恩恵を受け、多くの企業がNVIDIA、AMDやCSP(クラウドサービスプロバイダ)の独自ASICなどといった高性能AI半導体の導入が進んでいる。現在、HPC分野に主にDRAMを適用する学習向けAIサーバが市場をリードしていることもあり、サーバDRAMの年間成長率は17.3%増と予想されるほか、エンタープライズSSDの同約13.2%増と塗装されている。
このほかノートPC市場では、MicrosoftがAI PCとして必要なコンピューティング能力について40TOPS以上の性能を有するCPUとしており、QualcommのSnapdragon X Elite、AMDのRyzen 8000シリーズ(Strix Point)、IntelのLunar Lakeなどが想定されている。ただし、これらのCPUを搭載したノートPCが広く普及するのは2024年後半以降と予想されており、この分野でメモリ容量が短期的に増加することは難しいことが考えられる。
またAI PCのハードウェア要件として、DRAMの最小要件を16GBとするとされているが、SSDの容量については1TBにするとはされていない。そのため2024年のノートPCにおけるDRAMの前年比成長率は約12.4%増と予測されるが、AI PCの量産が本格的になる2025年には、さらに高い成長率となることが期待されるとしている。クライアントSSDも容量の増加傾向にあるが、NAND価格は上昇傾向になっており、年間成長率は9.7%にとどまるとTrendForceは予測している。