Intelが米国オハイオ州に計画している半導体新工場建設プロジェクト(総額200億ドル=約3兆円)について、当初は2025年の生産開始を計画していたものの、スケジュールに遅れが生じており、2026年後半になるまでに製造施設の建設が完了しない見通しだと米Wall Street Journal(WSJ)が報じている。事情に詳しい複数の関係者からの情報として、半導体市場の環境が厳しくなっていること、ならびに米国政府による助成金支給のめどが立っていないことが計画遅延の背景にあるとしている。

すでにTSMCが米国アリゾナ州で建設している半導体第1工場の稼働も1年ほどの遅延、第2工場も1~2年ほど遅れる見込みだとされている。やはり、原因の1つとして米国政府からの助成金支給がいまだに決定されていない点を同社のMark Liu会長は述べている。Samsung Electronicsも米テキサス州テイラー市に新たな半導体工場を建設中だが、同様の理由で計画の縮小や遅延が見込まれると言われている。

米国で進む半導体工場の建設が次々と遅延していく事態に対して、米国商務省のジーナ・レモンド(Gina Raimondo)長官は、米国のCHIPS法に基づく助成金支給に向けた進捗状況について「商務省が政府の半導体製造促進のための390億ドルのプログラム(CHIPS法で規定されている米国内半導体製造強化のための補助金原資)から2カ月以内に複数の資金提供を行う計画である」と述べたとロイターが2月5日付(米国時間)で報じている。レモンド氏は、「我々は複数の半導体企業と非常に複雑で困難な交渉を行っているところだ。今後6~8週間以内に、さらにいくつかの発表を行う」と述べたほか、「これらは非常に複雑で、他に類を見ない施設だ。TSMC、Samsung、Intelが米国内で建設しようとしているこれまでに我が国では類を見ない大規模施設に対する新世代の投資である」とも述べたという。

このほかBloombergが1月末ごろ、匿名による情報として3月末までに大型助成金が支給されるかもしれないことを報じている。それによると米国政府からの助成金は、各企業の投資総額15%程度までで、最大30億ドル(約4400億円)という上限があるともされている。