日本ガイシは2月8日、AIサービスの開発・運営を行うストックマークと、AIを活用して日本ガイシの製品や技術の新規用途探索を高精度化・高速化する実証実験を開始したことを発表した。
AI活用で未開拓市場を効率的に検討
ストックマークが開発したAIは、最新の特許や論文、社会課題、ニュースといった大量の外部情報をもとに作成された独自の大規模言語モデル(LLM)。日本ガイシの製品・技術と外部情報の関係性を正確かつ高速に結びつけることが可能で、専用画面上で製品名や技術名を入力すると、関連する新事業の提案を受け取ることができるという。
自社の要素技術と社会課題をかけ合わせた新規用途の探索に従来、膨大なテキストデータを人が解析する必要があったが、テキストデータの解析をAIが担うことで、時間と労力を大幅に削減でき、自社の強みを生かせる未開拓市場を効率的に検討できるという。実証実験では、年内をめどに100個以上の事例を出力し、この中からさらに有望な新規用途の抽出をめざす考えだ。
日本ガイシ 代表取締役副社長 DX推進統括部所管 丹羽智明氏は、次のようにコメントしている。「日本ガイシでは、2030年までに新事業で売上高1,000億円を目指す『New Value 1000』を実現するために、2022年に市場や顧客のニーズを素早く取り込む機能を担う『NV推進本部』を新設しました。New Value 1000を成し遂げるためには、さらに『マーケットイン』の姿勢で新事業を創出していく必要があります。タイムリーに社会課題(ニーズ)を収集する技術を持つストックマークのLLM技術と、日本ガイシが保有するさまざまな情報(シーズ)をかけ合わせることで、これまで気付かなかった新しい価値を発見し、目標達成に寄与することを期待しています。」
ストックマーク 代表取締役CEO 林達氏は、次のようにコメントしている。「AIやLLM技術の進化によって、私たちは30年に一度の大きな転換点にいます。テクノロジーやソフトウェアと人の関わり方、そして企業と人が新価値を創出するプロセスはこの3年で一変すると考えています。セラミック技術を基盤とし、エネルギーや環境保護からデジタルまで幅広い分野で事業展開されている日本ガイシとの取り組みを通じて、企業がニーズとシーズをかけ合わせる価値探索の時間を短縮させ、継続的に価値創出できる仕組みを目指していきます。」