パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda」は2月8日、2023年1月〜6月の期間にdodaのエージェントサービスを利用して転職した個人を対象に、転職前の年収と転職後の決定年収の平均値、その増加幅を算出した「IT職種の転職前後の平均年収レポート」を発表した。
IT人材不足で年収アップの傾向に
同時期にdodaのエージェントサービスを利用して転職した個人全体の平均決定年収は451万円だったのに対し、「技術職(SE・インフラエンジニア・Webエンジニア)」というIT職種に転職した人の平均決定年収は477万円であった。
また、転職前後の年収変化をみても、転職後に給与が上がった人の割合は全体が約6割だったのに対し、IT職種は約7割と全体より大きかったという。
IT職種が転職によって年収アップする傾向にあるのは、IT人材不足で採用難易度がさらに高まる昨今、給与水準を見直し改善することで、離職防止や採用力強化を狙う企業が増えたためだと同社は推測。
現に、転職求人倍率では、IT職種の倍率が2022年後半から10倍を超えはじめ、2023年12月には過去最高の13倍を超えたことからも、採用競争が激化している様子が伺えるとしている。
平均年収が高いIT職種のポジションは?
IT職種経験者のうち、どのポジションに転職した人の平均決定年収が高いかみると、1位は「セキュリティエンジニア」で+67万円。次いで2位が「ITコンサルタント」(+64万円)、3位が「データサイエンティスト」(+50万円)という結果となっている。
セキュリティエンジニアは、情報セキュリティのスペシャリストとして需要が伸びているが、経験者は少なく、企業は採用競争力を高めるべく決定年収を引き上げた結果、年収増加幅が最も大きくなったとdodaでは見ているという。
また、ITコンサルタントは、業種を問わず企業からコンサルティング会社へDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に関する相談が増え、コンサルティング会社は即戦力となる人材を採用するべく、決定年収を引き上げていることが年収アップにつながったと考えられている。
データサイエンティストは、比較的新しい職種であることから貴重な経験者に対して需要が集中し、各社が採用成功に向けて決定年収を引き上げているという傾向が見られるという。
転職前の平均年収と転職後の平均決定年収の変化
転職前に就いていたポジションを軸に、転職前の平均年収と転職後の平均決定年収の変化を見ると、増加幅が最も大きかったのは「セキュリティエンジニア」(+64万円)で、それ以降は「データサイエンティスト」(+63万円)、「インフラエンジニア」(+44万円)と続く。
それぞれの転職事情を深掘りしてみると、セキュリティエンジニアの経験者は「同業種×同職種転職」が多く、業界経験を活かしてさらにセキュリティレベルの高い業務ができる企業へ転職するパターンが目立つという。
データサイエンティストは、「異業種×同職種転職」が多く、中でもIT・通信業界からコンサルティング会社への転職が多いとのことだ。インフラエンジニアは、コロナ禍でクラウド化を進める企業が増加し、クラウドの知見、特にクラウドサービスとしてシェアの高いAWSやAzureを扱えるエンジニアのニーズが高まり、人材獲得競争が激化しているという。