MicrosoftがCopilot(副操縦士)のブランド名でAI(人工知能)活用を推進しているのは周知のとおりだ。Microsoft Copilot for Microsoft 365(以下、Copilot for Microsoft 365)はMicrosoft 365 Appsの生産性向上を目的とした有償のAIサービスで、Microsoft 365 E3/E5などと組み合わせて使用する。ユーザーがMicrosoft 365 Appsのプロンプトに生成内容を入力すると、内容の整理にグラウンディングと呼ばれる処理を経て、LLM(大規模言語モデル)やアクセス権を持つデータにアクセスする仕組みだ。この際Copilot for Microsoft 365はMicrosoft Graphの新たなインデックスデータとなるセマンティックインデックスも併用する。

Windows 11からCopilot for Microsoft 365

Copilot for Microsoft 365の使用はMicrosoft 365 Appsに限らない。MicrosoftはCopilot for Microsoft 365の提供範囲拡大と共に、Windows 11環境での利用を現地時間2024年1月15日に表明している。そのときは2024年2月第2週から展開開始を予定していると述べており、今回の公式ブログは改めて披露した形だ。有効化手順はWindows 11 バージョン22H2/23H2で若干異なるため、公式ドキュメントをご覧いただきたいが、ユーザーは「職場」を選択するとCopilot for Microsoft 365、「Web」選択時はCopilot(旧Bing Chat Enterprise)をデータ保護を踏まえた状態で使用できる。

  • Windows 11から呼び出したCopilot for Microsoft 365

    Windows 11から呼び出したCopilot for Microsoft 365

WindowsにとどまらないMicrosoftの"Copilot推し"

MicrosoftのCopilot推進はWindowsにとどまらない。Copilot in Windowsと同様に、iOS/Androidで動作するCopilot Mobileもすでに提供済みだ。MicrosoftアカウントもしくはMicrosoft Entra IDでサインインし、Bing ChatやCopilotによるAI支援、Microsoft 365 Appsとの連携環境を得られる。2024年5月ごろにはOneDrive in Copilotの展開も予定中だ。Microsoft 365 Roadmapによれば、OneDrive for Webはファイルを開かずに質問や情報取得、複数ファイルの要約が可能。対象となるファイルタイプはDOC、DOCX、FLUID、LOOP、PPT、PPTX、XLSX、PDF、ODT、ODP、RTF、ASPX、RTF、TXT、HTM、HTMLとなる。このようにMicrosoftの"Copilot推し"は、フロントエンドのみならずバックエンドの改良などを重ねて、今後も加速するだろう。

  • iOS版のCopilot Mobile

    iOS版のCopilot Mobile

  • 日本マイクロソフトの説明(2023年11月21日時点)

    日本マイクロソフトの説明(2023年11月21日時点)

組織のIT部門担当者に目を通してほしいのが、「Latest updates for Copilot for Microsoft 365 - Microsoft Support」である。消費者向けのCopilot Proを含むCopilot for Microsoft 365の更新情報を紹介するWebページだ。たとえば2024年1月はMicrosoft Wordで書式付きのテーブルを再利用する方法や、Microsoft Outlookでメール作成中に助言する機能が加わったという。Copilot for Microsoft 365が示す可能性やAIの進捗は浅学な筆者では計りきれないが、これまでMicrosoft 365 Appsを業務工程の中心にしてきた組織は、Copilot for Microsoft 365の検証を開始する時期である。

  • Outlook on the webのメール作成助言機能

    Outlook on the webのメール作成助言機能