Smartsheetは2月7日、2024年のグローバルおよび日本のビジネス戦略について発表する記者発表会開催した。

発表会には米国本社のCEOであるマーク・メーダ―氏、Smartsheet Japan 社長執行役員の嘉規邦伸氏、そして日本で初めてとなる販売代理店契約を締結したSB C&Sから執行役員 ICT事業クラウドサービス推進担当の守谷克己氏が登壇し、Smartsheetの今後の事業展開とSB C&Sとの販売店契約について紹介した。

ITスキルを必要とせず使用できるSmartsheet

Smartsheetは2005年に「人々の働き方を変革したい」という想いから設立され、企業の経営層や従業員向けにプロジェクト、プログラム、プロセスを管理するプラットフォームである「Smartsheet」を提供している企業だ。

Smartsheetは、基本的にはノーコードで設計できるプラットフォームとなり、すべての作業はExcelやスプレッドシートのような使い勝手を持つシートからスタートし、情報共有用のレポートやダッシュボードに加工していくことができる仕組みになっている。顧客はすでに使用しているソフトウェアと統合して利用でき、スマートシートをさまざまな既存ツールに追加して利用することで、より効率的に作業できるようになるという。

  • Smartsheetのイメージ

    Smartsheetのイメージ

同社は、2019年にはニューヨーク証券取引所に上場。現在は3000人の従業員を抱える企業となっており、日本市場には2023年に本格参入している。国内では、日産や楽天といった日本を代表するグローバル企業から日本ならではの中小企業まで、さまざまな顧客に導入されているという。

そんなSmartsheetは日本の顧客に対して「エンタープライズワークマネジメントテクノロジーを提供」することを戦略として重要視しているという。

「エンタプライズワークマネージメントは、多様化するワークフローをビジネスチームとITチームの両方から管理できるという点で非常に重要です。弊社は、2023年12月のGartner Magic Quadrantのコラボレーティブ・ワーク・マネジメント部門でリーダーに選出されました。このようにカテゴリーが高く認知されたということは、Smartsheetの成功によって、重要性が認知されているからだという風に自負しています」(メーダ―氏)

  • 米国本社のCEOであるマーク・メーダ―氏

    米国本社のCEOであるマーク・メーダ―氏

またメーダ―氏は、Smartsheetと他社サービスを比較した際の強みとして「ITスキルを必要とせず使用できる」という点を挙げた。また、この特徴を実現しながらも、高いセキュリティの要件を満たしており、多くの人が使いやすいほか、共同で使うことができるプラットフォームを実現しているそうだ。

加えて、同社は生成AIをSmartsheetで活用できるようなシステムの構築も発表しており、生成AIを製品や状況、時代に即した形で採用していくことに前向きな姿勢を見せている。

日本企業は「備え付けエレベーターを活用せずに階段を使っている」状態

続いて登壇した嘉規氏は、「日本における戦略および成長」をテーマにSmartsheetの特徴を紹介した。同氏の語るSmartsheetの特徴は以下の3点。

使い慣れた(使いやすい)プロダクトインタフェース

製品のインタフェースは、顧客が慣れ親しんだスプレッドシートの形 式をベースに構成されており、誰でも簡単に使い始めることが可能。

プロジェクト管理に必要なものがオールインワン

豊富なテンプレート、プロセスの自動化や標準化に必要なツール、コメントの機能など、社内外とのコラボレーションに必要な機能がオールインワンで揃っている。

コラボレータ機能で共同作業が便利に

社外の編集者や閲覧者はコラボレーター機能で参加が可能。きめ細やかな権限設定で必要な情報を必要な人に共有する。

  • Smartsheetの3つの特徴

    Smartsheetの3つの特徴

嘉規氏曰く、日本の企業は「備え付けのエレベーターを活用せずに階段を使っている」状態のところが多いという。

「私の目から見ても、日本の企業は非効率な働き方をしていると思います。文書の複数のバージョンが出回って混乱が生じていたり、マニュアルワークや進捗確認会議といった必要のないプロセスを省けずに効率性が悪い働き方をしているのです。言ってしまえば、会社にエレベーターが設置されているのに階段で自分のフロアまで上っている人を見ているような状態です。そこで、弊社ではどうすれば効率的に上のフロアまで登れるかを提案していきたいと思っています」(嘉規氏)

  • Smartsheet Japan 社長執行役員の嘉規邦伸氏

    Smartsheet Japan 社長執行役員の嘉規邦伸氏

このように日本の非効率的な働き方を憂う嘉規氏だが、それ故か最大の競合相手は「大きな変革を遂げる必要がないと思っている日本の企業」だとも述べた。古い慣習を重んじる日本企業を変革し、より良い働き方を提案していきたい構えだ。

Smartsheet×SB C&Sの協業

ここまでSmartsheetの日本におけるビジネス戦略を紹介してきたが、最後に、SB C&Sの守谷氏が登壇し、Smartsheetとの協業の詳細と展望を語った。

そもそもSB C&Sは、ソフトバンクグループ企業内の「流通」を担う立ち位置として設立されており、ソフトバンクグループの原点であるIT流通事業をはじめテクノロジーの進化と市場環境の変化を迅速にとらえて事業領域を拡大してきた企業だ。

事業は大きく法人向けの事業とコンシューマー向けの事業の2つに分かれており、今回の協業では法人向け事業でSmartsheetのソリューションの取り扱いを開始するという。

「弊社は、Smartsheetさまの日本で初めてとなる販売代理店契約を締結しました。この契約の締結により、日本事業の継続的な発展を目指します。弊社のメンバーが、しっかりと製品を熟知し、その内容を正確に販売パートナーさまに届け、その販売パートナーさまが、この商材を広げていく活動を推進していきます」(守谷氏)

  • SB C&S 執行役員 ICT事業クラウドサービス推進担当の守谷克己氏

    SB C&S 執行役員 ICT事業クラウドサービス推進担当の守谷克己氏

今回、発表されたSB C&Sとの取り組みのように、Smartsheetは、原則的に「100%間接販売」でパートナーと協業することで日本の労働者の働き方と生き方を楽にすることを目指していくという。

発表会の最後に、メーダ―氏は「日本で働く何百・何千万もの人たちの働き方や生き方をもっと楽にするのがSmartsheetのミッションです」といって発表会を締めくくった。