ニトリは2月6日、EC事業の成長を加速させるため、マーケットプレイスを本格導入すると発表した。フランス発のMirakl(ミラクル)が提供するエンタープライズマーケットプレイス構築向けSaaSプラットフォームを導入する。マーケットプレイスのサービス提供時期は未定だが、今後、ECサイトをモール化し、他社商品の取り扱いを開始する見通しだ。ECサイトで提供できる商品点数やバリエーションを拡大し、全国にある店舗網を生かした新たなビジネスモデルの構築を目指す。
ニトリグループは中長期ビジョンとして、2032年度までに店舗数3000店舗、売上高3兆円という目標を掲げている。その目標達成に向け、事業領域の拡大や、顧客支持獲得を目的としたEC変革に着手している。今回のマーケットプレイスの導入もその一環だという。
ニトリの2023年2月期のEC売上高は、前期比28.3%増の921億円となった。コロナ禍の巣ごもり需要の追い風を受け、ライブコマースなど販促を強化して順調に成長してきたが、直近の2023年3‐8月期(第2四半期)のEC売上高は前年同期比2.2%減の397億円に減少していた。
アフターコロナを迎え、新たなEC事業の成長戦略を模索する中で、欧米で大手流通企業が実績を上げているマーケットプレイスの導入を決めた。Miraklのエンタープライズマーケットプレイス構築向けSaaSプラットフォームは、Carrefour(カルフール)やMacys(メイシーズ)、Decathlon(デカトロン)など欧米の大手流通企業が導入し、ECサイトの流通規模拡大に貢献している。国内でもフラッシュセール国内最大手のla belle vie(ラベルヴィー)やBtoB事業の新たな価値提供を目指す三菱電機などが導入を進めている。
Miraklの導入事例以外でも、米国ではウォールマートがマーケットプレイスモデルを採用しており、EC最大手のアマゾンに奪われつつあったシェアを奪い返しているという報道もある。米国の大手流通企業の多くがマーケットプレイスを導入しており、大規模EC事業の次なる一手として注目が高まっている。
ニトリグループは自社のPB商品の販売促進や顧客の利便性向上のためにも、マーケットプレイスを導入し、新たな体験価値の提供を目指す。ニトリグループの取扱商品やブランドとシナジーを発揮できそうな商材を持つメーカーにとって、ニトリのマーケットプレイスは新たな販路として期待が持てるだろう。